リニアを考える可児の会ニュースNo.7 (2014年10月25日)
10月25日(土)中津川市の「チコリ村」で開催されたリニア問題学習会(主催 リニアを考える岐阜県民ネット)は、参加者130名で、主にリニアの土地問題(法律問題)を中心に講演と質疑がありました。二人の講師(岡本浩明弁護士、古賀哲夫教授(民法)の話は、
岡本さん
土地問題については、憲法29条の財産権は、制度も含めて不可侵とされているが、その内容は
① 公共の福祉に適合するように法律で定めること
② 私有財産は、正当な補償の下に、公共のために用いることができる。
とされている。このことから、私企業であるJR東海も、「公共のため」の「公共事業」であれば国民の私有財産である私有地を土地収用できる可能性があり、その法律は土地収用法である。
従って、リニア計画が「公共のため」になっているかが、もっとも重要な判断基準で、リニア計画が公共のためになっていないことをより多くの国民に知らせ、連帯運動を広げ、国民的な反対運動の中で、法的手段も早期に考えて行くことが大切。
古賀さん
住民軽視のJR東海および国交省の強引なリニア工事着工認可に対抗するには、
① JRに、リニアのための「非常階段及び排気塔設置に必要な土地を売らないこと。
排気塔からの騒音と汚れた空気は、周辺住民の健康に悪影響を与える。(これは住民に対
する継続的生活妨害行為である)
② JRに、区分地上権設定のために土地を貸さないこと。
イ リニア計画には、騒音、振動、電磁波、トンネル残土(黄鉄鉱やウランを含む)、景
観、稀少動植物など数々の問題点が指摘されており、大飯原発差し止め判決でも示さ
れたとおり、「憲法上の基本的権利という根源的な権利が広範に奪われるという危険
を抽象的にでもはらむ経済活動は、その存在自体が容認できないとまではいえない
が、少なくともかような事態を招く具体的危険性が万が一にでもあればその差止めが
認められるのは当然である。民法上、土地所有権に基づく妨害排除請求権や妨害予防
請求権においてすら、侵害の事実や侵害の具体的危険性が認められれば、侵害の過失
の有無や請求が認容されることによって受ける侵害者の不利益の大きさという侵害者
の事情を問うことなく請求が認められる。
ロ 地権者(所有権者等)には不利な条件が課されることが多いから、仮に地上権設定契
約を結ぶとしても、契約の際には、第三者の立ち会いと、地代の年払いの確約が重要
です。
ハ 半永久的にJRに土地を使われてしまうという危惧を覚悟すること。(つまり所有権を
失うということ)
③ 居住の自由に関する最近の動向
リニア岐阜駅(中津川)のために、岐阜県が道路を造る計画を作成し、ルーと上の民家7
8軒を立ち退かせる計画を発表した。これは生活権(居住権)の侵害であり、立退につい
ての法的根拠が明示されなければならない。本来行政の目的は、国民の憲法上の権利を守
ることが存在意義なのである。
④ 工事をストップさせるには、「差し止め請求権」の行使が有効と考えています。
イ 環境権について
環境権は、憲法上の基本的人権として認められるというのが、最近の通説である。
ロ 景観については、最高裁は、「権利」と言わず、「法律上保護された利益」としている。
ハ 「差止め」についての最近の考え方
● 地域住民の同意を得る民主的手続きは適切であるか。(これには情報公開が前
提)
● 環境影響評価の手続きの不備や事前調査の欠如ないし不備はないか。
● 「この地域で形成されてきた慣習」があるか、等に差止めの根拠を求める立場。
⑤ 課題
イ 継続的不法行為の反復とその継続を阻止する差止めは可能か。
ロ リニア・ルート周辺の住民が、どの範囲で、原告適格があるかは、今後の課題ですが、
大飯原発差止め判決の理論を検討する必要があります。
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