2018年3月3日土曜日

リニア談合逮捕 どこまで続く悪弊か(2018年3月3日中日新聞)

リニア談合逮捕 どこまで続く悪弊か 

2018/3/3 紙面から
 リニア中央新幹線工事を巡る談合事件で、大手ゼネコン元幹部らが東京地検に逮捕された。相変わらずの談合体質が明るみに出た印象だ。決別宣言は嘘(うそ)だったのか。徹底的な捜査を望むしかない。
 南アルプスを貫くリニア中央新幹線は当初から巨額な費用と難工事が予想された。JR東海は二〇二七年の品川-名古屋間の開業を目指している。
 総工費は実に九兆円超で、そのうち三兆円は国から財政投融資の形で支援を受ける。まさに「国家プロジェクト」でもある。
 談合の疑いは、大手ゼネコンの大林組、鹿島、大成建設、清水建設の四社。関係者によると、四社の元幹部らは、国が着工を認可した一四年から一五年に受注調整することで合意。JR東海側から工事情報を入手し、情報交換を通じて落札する企業を決めていたとされる。
 とくにリニア関連工事のうち、品川駅や名古屋駅の新設工事について、会合を開くなどして、入札で競合しないよう受注調整していた疑いがあるといわれる。
 東京地検は昨年十二月の家宅捜索以降、担当者の事情聴取を重ね、公正な競争を妨げる独占禁止法違反に当たると判断した。いわゆる「不当な取引制限」に該当するとし、逮捕に踏み切った。
 大林組と清水建設は容疑を認め、課徴金減免制度に基づき公正取引委員会に違反の自主申告をした。違反を自ら申告すれば、課徴金の減免と刑事告発をも免れうる制度である。
 一方、鹿島と大成建設は「受注調整はしていない」と争う姿勢だ。逮捕されたのは、この二社の元幹部らだ。減免制度を考慮した関係かもしれない。それでも外見上は「見せしめ」のようにも映る。発表内容だけでは、違反の理由が明確には分からないからだ。だから、東京地検は否認するゼネコン側を証拠により、どう切り崩せるかが課題となる。
 それにしても戦後日本は「土建国家」の異名で呼ばれ、談合は必要悪という人もいたほどだ。しかし、談合でつり上がる建設費は結局は税金で賄われる。
 だから、談合事件がどんどん摘発され、〇五年に業界が「談合決別宣言」をするに至ったのだ。
 震災復興や東京五輪などの特需に建設業界は沸く。ひょっとすれば、決別宣言などとうに忘れ、土建国家時代の悪弊が蘇(よみがえ)ってはいないか。リニア談合事件は氷山の一角なのかもしれない。

2018年3月1日木曜日

トンネル競合を調整か リニア談合、清水建設に代替工事

トンネル競合を調整か リニア談合、清水建設に代替工事 

2018/3/1 朝刊
 リニア中央新幹線工事を巡る入札談合事件で、大手ゼネコン大林組(東京)、鹿島(同)、大成建設(同)の三社と、清水建設(同)との間で、品川駅の新設工事と南アルプストンネルの工事を分け合っていた疑いのあることが、関係者への取材で分かった。東京地検特捜部は独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で、法人としての四社と担当者らを立件する方針を固めたもようだ。
 関係者によると、特捜部は二十八日、大成建設の元常務執行役員らに対し、本格的な聴取を行った。
 工事を発注したJR東海によると、品川駅は北工区が、清水建設を中心とする共同企業体(JV)が二〇一五年九月に、南工区は同年十月に大林組のJVがそれぞれ受注。入札はいずれもJR東海が事前に業者を選定した上で、施工方法や価格を総合評価する指名競争見積もり方式で行われた。
 ゼネコン関係者によると、南アルプストンネル山梨工区の工事への参加を希望していた清水建設が、大成建設と競合。途中で工事が分割された品川駅の一部を清水建設が受注する代わりに、南アルプストンネルを断念するよう担当者間で話し合ったという。結果的に南アルプストンネルは、大成建設が山梨、静岡工区を、鹿島が長野工区を受注した。
 特捜部などは昨年十二月の家宅捜索以降、担当者などから聴取を重ねた結果、これらの行為が公正な競争を妨げた疑いがあると判断したもようだ。
 四社は発注前に情報交換をしていたことを認めている。大林組と清水建設は容疑を認めて課徴金減免制度に基づき、公正取引委員会に対して違反を自主申告した。一方、鹿島と大成建設は「受注調整はしていない」と争う姿勢を示しているという。
 昨年十二月までに、JR東海は二十四件の工事を契約し、うち四社がそれぞれ中心のJVが十五件を受注。各社三~四件とほぼ均等に受注していた。
 JR東海は二七年の品川-名古屋間のリニア開業を目指している。総工費九兆円超のプロジェクト。大阪までの全線開通の前倒しを前提に、三兆円の財政投融資が投入され、国から支援を受けている。