2014年10月7日火曜日

リニア地上走行被害から住民の防護を(可児市議会での質問と回答)

平成26年第2回市議会定例会第3日で、共産党伊藤健二市議の リニアに関する質問と、冨田市長及び市の担当部局の回答があり、その議事録が可児市議会のブログに掲載されているので、紹介します。 (一部省略あり)
今後、他の市議のリニア関する市議会での質問と市当局の回答を順次紹介して行きます。

18番(伊藤健二君) 18番、日本共産党可児市議団の伊藤健二でございます。
 きょうは、大きく2点について質問をさせていただきます。
 第1問は、リニア地上走行被害から住民の防護をと題しまして、市長及び担当部長に質問をいたします。
 まず最初に、市長に答弁を願いたいと思います。
 岐阜県知事は、環境影響評価書に意見を出す際、可児市の意見を軽視してリニア建設ありきで事を推進しました。これを受けJR東海は、わずか1カ月という異例の速さで環境影響評価書を提出、この秋の建設着工に向け、国の認可を取りつけようとしています。
 可児市長が3月の記者会見で、建設ルートの地下化を今後求めないとしたことは、市民と市議会に絶望感を与え、可児市のトップが腰砕けを起こしたのかと映ったと思います。市長態度の豹変に、市民の納得が得られる説明も、また区間地上走行が必要な理由も、いまだ明らかではないと思います。岐阜県知事意見を尊重するからと目をつぶるというのは、私は通らない話だと思います。賛同決議を上げ、関係自治体や県内地方議会に市議会の決議への理解と、また応援を求めてきた可児市議会としましては、可児市の沈黙がやむを得ない市長の決断だったとは到底認められないものだと思います。JR東海側の高圧的な姿勢に変わりはありません。環境大臣の意見書も意見も出た今日、市との協議をして残土管理計画をつくれと、環境大臣の意見書にも出てまいります。
今後、可児市が何を考え、JR東海側に何を求めていくか、極めて重要な時期に差しかかっていると考えます。ですからこそ、こうしたJR東海側の高圧力に屈したままではいけません。可児市民の地区住民の命や、健康、平穏な生活と暮らしを守ることができると市長は考えているのでしょうか。まず最初にこの問題で、市長の政治姿勢と考えについてお伺いをします。
 質問の大きな1点目は、市長は何をもって地下化はできないと認めたのでしょうか。
 もう1点は、市長は、地上走行ルートでなければならないとJR東海が説明をしたはずでありますが、その理由を何と理解したか、どのようなものと理解をしたのでしょうか。
 そして3つ目には、地上走行では住民の生活環境と、また文化財、景観の両面で大変深刻な被害が増すことになると予想されています。これを承知で地下化の旗をおろしてしまったのか。
 以上3点について、市長自身から御説明をいただきたいと考えます。
 私は、市長がぜひ頭をもたげて、こうした難題にも立ち向かっていただきたいと、こういう立場から質問をさせていただきます。
 大きな2つ目の問題に具体的に入りたいと思います。
 特に今、問題にしなきゃいけないことは、リニア建設に賛成か反対か、こうした立場の違いにもかかわらず、今ある住民の疑問や不安に答えないままで建設着工を進めるようなことは断じて許されるものではないということであります。ですからこそ、可児市がJR東海の広報官、伝令役に終わることなく、住民の命と暮らしを守る基礎自治体として、疑問や不安、要望に真摯に答えさせ、またJR東海にそれを求めていくということが重要であります。市担当者は、今後、これらの多難な諸課題にどう向き合い、住民のために総合窓口、情報開示の任務を行うつもりでしょうか。
これから8つの問題について、具体的に市の認識や対策をただしたいと思います。これは山梨リニア実験線など、JR東海の環境影響評価書の諸資料から、あるいはいろいろと見聞きした問題点などを指摘して、1)から8項目について具体的に質問をさせていただきます。
 この諸問題の大きい2番目のまず最初は、建設残土問題についてであります。
 建設工事に伴う残土処理の計画が、約2割程度しか示されておりません。計画では6,500万立方メートル、そのうちの5,600万立方メートルぐらいになるようでありますが、この東京ドーム50個分を超える量の排出土、残土のうち、岐阜県内で排出する量が約1,280万立方メートルと言われています。また、大萱、柿田、大森の排出口等では、数百万立方メートルにも及ぶと聞いています。この莫大な量の排出が計画されているわけであります。しかも、この東海環状自動車道のトンネル掘削残土の倍にもなる量の残土には、1つには酸性水土壌、美濃帯が含まれている可能性、また御嵩方面に対してはウラン鉱床をくりぬく危険もあると指摘されています。この有害鉱物、そして問題の土壌を運搬、貯蔵、最終処分する対応策が我々の前には明らかにされていない状態であります。準備書までで、あるいは意見書で明らかにされたのは、静岡の7カ所の残土処分場が指定されているという程度であります。岐阜県では明らかにされていません。JR東海は、ウラン鉱床の問題でいえば、放射線線量計をつけて掘削、トンネル掘りをすると説明会では説明をしたと聞いておりますが、出てきたものをどう対処するのか、最終処分、ウランは放射線管理対象でありますので、そうした問題についても重要であります。
そこで、具体的にお尋ねをします。
 1)として、残土処理計画を明確にさせ、またその内容に基づいて環境影響評価をやり直すように求める考えは可児市にありますか。
 2)として、JR東海では、建設発生土は排出口から5キロメートル圏内に仮置きすることがこれまで多く経験済みであります。周辺住民の納得と合意を得て建設工事計画を立てさせる点に、変わりはないでしょうか。
 3つ目として、開口部、非常口からの土砂の運搬が計画をされ、最大1日合計で700台ものトラックの走行が予想されます。大気質、粉じんや騒音、振動による悪影響や通学路における事故の危険性、また重量貨物走行による道路の損傷など、住民や地域自治体への被害が予測されます。トラックの走行台数の総量及び走行時間規制を行うこと、また具体的に被害が出るようであれば、被害補償のあり方を事前に決めておくことが必要だと思いますし、こうしたことが関係住民の合意がないまま工事を着工しないということが明確にされることが重要だと思いますが、市はこの点、どうお考えでしょうか、お尋ねをします。これが3)であります。
 大きな2つ目、最初は建設残土問題でしたが、2番目には地下水脈、湧き水湿地についてただしたいということであります。
 工事ルートの地下水脈の状況を事前に調査し、水源への影響を予測して回避する措置をJR東海に確実にとらせるよう要求することが必要であると考えます。昨日、この市議会でも小川議員が指摘をされましたが、久々利柿下の神田洞上ため池の先にあります二の沢水源地の真下をリニア中央新幹線のルートが通過するということは、昨日の小川議員の発言でも明らかにされておりました。そこでは回答はいただけませんでしたが、地下水脈がこうしたルートを通ることによって影響を受け、結果として、二の沢の希少種であるミカワバイケイソウやシデコブシ、あるいはカタクリなどに影響を与えていく。これは、自動的にすぐ水がかれるというものではありません。さまざまな地下水脈、わからないからこそ影響を与えないような対策が一つ一つとられていくことが必要であります。しかし、リニア中央新幹線のルートはもう決めたから、ここを次から次へと掘っていくぞということでやられようとしています。そういうJR東海の建設工事先にありきのような対応が問題だと考えます。

 今、山梨のリニア実験線では川がかれたり、地下水脈に穴をあけるような例が生じており、こういったことを踏まえて、河川、ため池、水源域への対策をどうするのか、可児市としての考え方、その点、可児市の方針を明示していただくようお願いをしたいと思います。
 ちょっとここで説明を申し上げますが、こちらに写真を用意しました。本当はここにパネルがあって、皆さんに明快、くっきりと今回は出すつもりでおったわけですが、残念ながらそれが間に合いませんでしたので、見にくい汚い写真で失礼ですが、執行部側と議員のほうにも見えるようにしました。
 上の2つの写真は、山梨県の笛吹市にあります天川と金川、そこで向かって右手側が、かれてしまった川の様子、もう石がごろごろと出ています。その隣が、建設されたリニア実験線の柱が立っていますが、その真下に日量で1万八千四百四十何トンと説明を受けましたけど、1日の排出量で1万8,000トンを超える水、山の地下水が放出されています。今も出続けているということであります。このように、全くJR東海側も予期せずにどんと穴があいてしまって、地下水脈に穴があく、それがその例であります。
 こうしたことが、この可児市の地下で起きないという保証はありません。そうした点で、河川、ため池、水源域への対策をどうしていくのか、どう自然環境を守るのかという点で、4)番目としてお尋ねをいたします。

 次に、第3に電磁波の人体への影響の問題について取り上げたいということであります。
電磁波の影響については、環境影響評価書は、国の基準として定められたICNIRP(国際非電離放射線防護委員会)のガイドラインを下回っており、磁界の影響については問題ないとしているところであります。このICNIRPのガイドラインは、電磁波の熱効果しか考慮しておらず、慢性影響や非熱効果などが考慮されておりません。こうした中で日本弁護士連合会は、2012年9月13日に電磁波問題に関する意見書を発表しまして、電磁波に関する安全対策のために、予防原則に基づいて、幼稚園、保育園、学校、病院等が存在する地域をセンシティブエリアと指定して、極めて敏感な地域性ということを指摘して、他の地域よりも厳しい基準を設けることを検討すべきであると提言いたしました。
 ここでいう予防原則とは、どういうことでしょうか。2010年11月に条約発効しておりますが、ISO26000の中で、社会的責任ガイドラインといいまして、きちっと社会的に明らかにすべきことだということで発効しております。この中では、放射線も、電磁波も、その対象になるということで、予防原則が貫かれるべきだということであります。
 では、その予防原則とは何かということで改めて説明をしますと、その危険性が十分に証明されていなくても、引き起こされる結果が取り返しがつかなくなる場合に予防的措置として対応する考え方であります。これが予防原則であります。だから、結果が悪ければ、悪い結果をつくらないように回避させる、予防的措置をとっていくということが大事なんだという考え方ですが、残念ながら日本では、この弁護士連合会が指摘するように、国民一般に対しても確立しておりませんし、もっと大事な子供たち、将来の日本を支えていく子供たち等に対するより厳しい基準を設けることについては、まだまだ実現していないということであります。
 ちなみに、フランスでは憲法に、2005年3月に、この予防原則の考え方を取り入れました。また、ヨーロッパのEU委員会では2000年2月に、環境問題は原則的に予防原則が基本となるということを決定、決議をしています。
 こうしたことについて、まだまだ日本は大変甘いわけでありますが、この電磁波の影響について、予防原則の立場に立って改めて調査をし、特に地上走行部分においては、大萱のことでありますが、人体への影響を極力回避する措置をとるべきだと考えるわけでありますが、市としてこの問題にどのような見解をお持ちですか、お尋ねをします。
もう1つ、電磁波(磁界)の問題、その磁界の強度と健康についてということで、もう1項目、質問をさせていただきます。
 JR東海は、この国際非電離放射線防護委員会、放射線を扱う諸団体、企業の連合組織でありますが、この防護委員会のガイドラインに基づき基準値を定めて安全対策に万全を期しているとしております。しかし、欧米では、防護委員会が定めたガイドライン以下の値を基準としている国や自治体も多数あり、日本でも0.4マイクロテスラ ── これは磁界強度の単位でありますが ── を超える磁界強度になると、小児白血病や小児脳腫瘍が急増するとした論文もございます。山梨のリニア実験線に当てはめると、200メートル以上離れないと磁界強度は0.4マイクロテスラ以下にはならず、200メートル圏内にある教育、あるいは小児の関係施設などへの影響が不安視されています。
 中津川に今度できる岐阜県駅の近くに、坂本小学校がございます。あそこは80メートルちょっとだそうです。こういう問題がありますので、200メートル以上離れないと、少し危ないんじゃないという意見があるわけですが、坂本小学校を一体どうするんだと、旧坂本村の子供たちが全部その小学校に来る。そこへ1時間に5本、上下でいきますと10本ですよね、五、六分に1本ずつ、時速500キロで通過する。そのうち1本は多分とまるでしょうという話ですが、ともあれ、強い磁界のもとに定期的に繰り返し繰り返しさらされるという問題があります。
 これは専門的過ぎて、私らにはわかりかねる問題もありますが、具体的には、近い距離で起きる問題という観点で見れば、荒川豊蔵資料館の来訪者、そこで対応している職員の皆さん、それから地上走行部の住民、それから電磁波被曝をするという危険をどうするかという問題ではないんでしょうか。また、電磁波はコンクリートや土を通してきてしまいますので、鉄鋼で囲むかなんかしないと、なかなか効果的な防護壁にはならないということでありまして、放射線とは違って、電磁波の問題については独自の大変さがあるというふうに指摘をされています。
 桜ケ丘リニア問題を考える会の住民の皆さんは、88メートル先をリニア中央新幹線の地下トンネルが通過するけど大丈夫かという問題意識を持たれて、そうしたことを市長等に意見書として上げた経過が昨年の12月にはございます。そうしたさまざまな市民の間に不安を広げているというのが、この電磁波の問題ではないでしょうか。
そこで改めてお尋ねするのは、健康への影響や動植物の育成について、第三者機関による安全性の再検討を行い、その結果を公表させるとともに、可児市が科学的な知見を持つことについてどのように考えておられるか、お示しいただきたいと思います。
 この具体的問題の4つ目であります。
 4つ目は、微気圧波、トンネルから出る騒音についてということであります。
 これは、山梨のリニア実験線の写真で、これも見にくくて申しわけありません。遠くからもわかると思いますが、ここに白い線が出ていますが、これはトンネルへ入っていくための高架橋の部分です。その先にぽこっと、かまぼこ状態の構造物がありますが、これがトンネルのフードということでございます。微気圧波というのは、トンネルから出てくる騒音のことであります。この問題について、お手元に資料を、けさ配らせていただきました。微気圧波、トンネルから出る騒音についての換算表であります。
 準備書の予測では、中津川市等では計5カ所でジェットエンジンの爆音の約2倍の音となる微気圧波が響き渡るおそれがあり、こうした問題は、久々利地区の大萱でも同様の危険が予測されます。また、非常口の出口となっている大森の換気口及び空気抜きの穴からも同様に、列車が下を通過すれば微気圧波が出て、大変な影響が出るという状況が心配されます。周りは山で囲まれており、こだま現象も懸念される上、諸施設もあり、緩衝工の設置などによってどこまで騒音が軽減されるかも不安視されています。
 この緩衝工、衝撃波を抑えるため、和らげるために緩衝工事を行って騒音を低減させるというふうにJR東海は説明しています。低減させた結果、出てくる音のレベルがどうかということが、先般、秋田大学名誉教授の庄司善哉先生が、JR東海の環境保全事務所、竹下俊輔所長さんのほうへ質問書を送り、聞いた結果として確認されている数値が、下の表になっているものであります。
 準備書にも環境影響評価の結果が載っているわけでありますが、1と2で、1は非常口(山岳部)から発生する微気圧波については、出口から20メートルの距離で18パスカル、50メートルでも9パスカルの音圧となります。18パスカルという数字はデシベルに、人間の耳はデシベルじゃないと聞き分けられないという話だそうで、いわゆる人間の耳にはどのような騒音レベルとして聞こえるかというのは、距離等の問題については厳密に置きかえないといけませんが、18パスカルを置きかえた結果としては119デシベルという数字になるそうです。この119デシベルというのは、ジェット機から50メートルほど離れて聞くジェット機の騒音とほぼ同じ音量だということであります。

最後になります。一番大きな問題の最後は、市独自の予防として、大萱古窯跡群への影響について最小限にするために、地上ルートではなくて地下化を要望してきました。文化財、景観保護のため、地上走行の被害を軽減する意味からも、地下ルート化を最後まで求めるべきだと私は思いますが、市は本当にもう、一言もこの問題については言わず、地上ルートで対応していくという考えで市の姿勢は変わらないのか、この点について改めて質問をさせていただきます。
 以上11点について、御答弁をお願いいたします。

市長(冨田成輝君) それでは、リニア中央新幹線に関する私への1番目の質問と、それから具体的な項目の8番目の大萱の件につきましてお答えいたします。
 昨年秋に環境影響評価準備書が公表されてから市は、「美濃桃山陶の聖地」久々利大萱地区を守るため、計画を地下に変更するようJR東海に意見を申し上げるなど、各方面に働きかけをしてまいりました。1月17日には、環境影響評価法に基づき地下化を求める旨の意見を、多くの方々からの賛同を添えて県知事に提出いたしました。県ではこの意見を受け、県環境影響評価審査会で審議が行われました。その審査を経て、3月25日に県知事からJR東海に提出された意見は、久々利大萱地区について特記されており、その重要性が改めて認識され、高く評価された内容となりましたが、結果的に地下化の方向までに至らなかったことは、まことに残念であります。
 現在でも、リニア中央新幹線は地下を通過することが同地区にとって最善であるとの考えは変わっておりません。しかしながら、環境影響評価法による環境アセスメントの手続は、県知事の意見を踏まえ作成された環境影響評価書に関係大臣から意見が提出され、必要な見直しを経て評価書が確定し、終了することとなります。その後は工事実施計画の認可へと事業が進められていく中で、大萱地区について、かたくなに地下化だけを求め、具体的な協議に応じず、時間だけが経過していくことは、市民や国民からの理解も得られないと考えております。そのことが大萱地区のためにも決してよくならないと判断したものでございます。
 「美濃桃山陶の聖地」大萱の歴史的・文化的価値を後世に残すことや住環境への影響について、現実的な対応を図るため、地上を前提としたJR東海の具体的な計画をもとに、地域の皆様、県、JR東海と、いよいよこれから本格的な協議に入っていくということでございます。そして、解決策を模索してまいるという考えでございます。
 議員が御指摘されたような残土の問題、あるいは工事中の問題、さらには地域住民の皆様が切実に考えておられる住民の生活環境や、あるいは陶工の皆さんの制作の課題等々、多くの難題があることは間違いございませんが、それらの非常に難しい困難な問題ではありますが、現実的な解決策を模索していくために新しい段階に入ったということで、頭を下げているんじゃなくて、そういった問題に改めて、これからが本格的な具体的な協議に入ろうというふうに決意をしているところでもございます。
 また、大萱古窯跡群の重要性への認識は高まっております。引き続き調査を実施し、国指定史跡を目指していくことに変わりはございません。その中で、JR東海の計画との共存の方策を関係者と引き続き協議してまいりたいと考えております。

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