2014年10月20日月曜日

リニア着工認可 期待と不安(岐阜新聞2014年10月18日)

夢スピードアップ、リニア着工認可 県内、期待と不安
2014年10月18日10:04
写真:夢スピードアップ、リニア着工認可 県内、期待と不安
リニア実験センターで公開された新型車両L0系=9月22日、山梨県都留市
 ついに着工認可が下りたリニア中央新幹線。試算によると、中津川市の岐阜県駅と東京・品川を最短34分で結ぶ。人の流れを大きく変え、県内の観光や産業面で大きなインパクトを与えると期待されている。一方、未曽有の大工事に対する不安も漂う。いよいよ本格化する巨大プロジェクトに、県内では期待と不安の声が入り交じる。
 県内の首長からは、JR東海に対して丁寧な事業推進を求める声が相次いだ。
 古田肇知事は「JR東海には環境影響評価(アセスメント)書に記載された内容や県が要望してきた事項に適切に対応してほしい」とのコメントを出した。中津川市の青山節児市長は「住民からは情報不足による不安の声が上がっている」と指摘。可児市の冨田成輝市長も「以前から言っている通り、地域住民並びに本市と十分に協議し、理解を得た上で進めてほしい」と求める。
 ただ、リニア自体への期待は高い。古田知事は昨年度末に策定した県リニア活用戦略を「地元自治体と連携して、着実に進めていく」と強調。県内全域へのリニア効果波及に意欲を見せる。
 経済界からも歓迎の声が上がる。リニア中央新幹線建設促進県経済団体協議会長を務める村瀬幸雄県商工会議所連合会長は「岐阜県を含む東海地域が首都圏と一体的な経済圏を形成すれば、県内への経済波及効果は極めて多大。新たなビジネスチャンスの創出や生産性の向上により、地域経済の活性化が図られる」とする。恵那商工会議所の山本好作会頭も「リニアの建設工事に絡んで、地元のさまざまな業界で仕事が増えることを期待している」と話す。
 一方、反対派は環境などへの影響を懸念する。住民らでつくる「東濃リニアを考える会」の原重雄代表は「騒音や日照権、環境など問題が山積している中、国会での十分な議論もないまま認可され遺憾。異議申し立てをするなど、今後も諦めず訴えていく」と話す。同会が所属する「リニアを考える県民ネットワーク」は25日に中津川市内で、弁護士を招いて用地買収などについての学習会を開く。

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