2014年10月14日火曜日

次世代に残すべき可児の自然(平成26年第2回定例市議会) 小川富貴市議の質問と回答

質問

17番(小川富貴君) 17番議員、みどりの風、小川富貴でございます。よろしくお願いいたします。
 本日は2項目、ともに可児市の本当にすばらしい地域資源、1点目はその保全、そして2点目はその活用というところで、2項目の質問をさせていただき、執行部の方と議論をさせていただきたいというふうに思っております。
 先ほど来、Kルートの話が出ております。私は、KYルートを毎日散歩しています。KYルートと申しますと可児の山(KYルート)でございます。可児の山から私のルートをぽっと出たところが奥磯林道でございます。今、その奥磯林道で直径20センチメートルもあるような大きなレンズをつけたカメラを持った人たちが、多いときには10人ぐらい1カ所に集まって、その瞬間を狙っていらっしゃる方たちがお見えになります。常にこのごろはいらっしゃいます。非常に貴重な珍しい鳥がそこで営巣しているということで、一瞬のシャッターチャンスを狙っていらっしゃるようでございます。
 今回、私が質問に出します場所も、その時期になりますと何人ものカメラを携えた方が、日がな、多分一日中いらっしゃる方もお見えになると思います。その瞬間を何とか捉えようとする人たちがお見えになります。
 それはさておいて、最初に戻りまして、今非常に珍しいと言われる鳥を見ている人たちと挨拶を交わして、私は浅間山のほうを通って、また散歩を進めるわけですけれど、以前この道、私はもう二、三十年前からこの道をずうっと通っているんですけど、ほとんど人に会うことはありませんでした。もし、たまに人に会うというなら、たもを持った人でした。この地域もやはり、その時期になりますとギフチョウが舞います。多分そういったものをとっていらっしゃるんだろうというふうに思いましたけれど、ところが、今はアフターリタイアメントの人々が本当に多く、浅間山のあの付近を歩いていらっしゃいますので、今はたもを持ったような人に出会うことはほとんどなくなりました。これは本当にうれしいことです。衆人環視ということが、大切なものを守るときに本当に必要なことなんだなということを実感するところでございます。
 そういうところで、最初の質問に入らせていただきます。
 次世代に残す可児の自然というタイトルをつけました。趣旨を読ませていただきます。
 可児市東部の湿地には、市指定のミカワバイケイソウ、シデコブシを初め、ショウジョウバカマ、ハルリンドウ、ササユリ、それにヒカゲツツジ、そしてカタクリの群生を見ることができるわけです。また、このカタクリの群生が一斉に花をつけますときには、ギフチョウがこの上を舞っています。非常に貴重な自然、これらの自然を次世代に残すための施策を問わせていただきます。
 まず、最初に御紹介したいところでございます。もうそんなことは、みんな知っているというふうにおっしゃると思いますけれど、確認のために御紹介させていただきます。今申し上げましたミカワバイケイソウ、これは文化財課が出してくださっている本でございます。この中にミカワバイケイソウ、このように書かれています。
 地質代の氷河期に寒冷地から移動して生育していたが、現在のように暖かくなってきて、動物のように寒いところへ戻ることができず、その地に適応場所を見つけ、今日まで生きてきた、いわば氷河時代の生き残りともいうべき貴重な植物であると記入してくださっています。これは、ちなみに市の指定の天然記念物にしてくださっています。
 そして、シデコブシでございます。中生代の終わりごろあらわれたグループで、最も原始的な花のつくりをしている。約500万年から300万年前の地層から化石となって発見されているため、生きている化石、自然の歴史の証人でもあるというふうに書かれています。200万年前にミッシングリングを抜けて人間ができたと言われます。その2倍以上も前からこの地に生き続けている歴史の証人というふうなシデコブシがございます。
 そういった貴重な可児市の自然を守るために、可児市では条例を制定してくださっています。4条の中には、そういったものを総合的、計画的に保全するための施策を実施する責務がある、ないしは積極的に取り組まなければならないということを条例でうたってくださっています。また、そういったものの確保に関する条例にも、こういったものが書き込まれています。そして、この条例の意思を生かした形で、可児市環境基本計画というものを可児市は出してくださっています。その中の1番目に、「可児市の身近な自然を次世代まで残します」、これ、きのういただいたんですけど、全く私が今回通告したタイトルと同じようなデクレアになりました。本当にすばらしい文言がうたわれています。少々中身を紹介させていただきます。
 本市の自然環境の特徴として、里地里山と言われる昔から人の手が加えられ、維持されてきた二次的な自然が身近にあります。この里地里山や河川、ため池などは、生物の重要な生息・生育空間ともなっており、天然記念物などに指定される貴重で特徴的な動植物も多数生息・生育しています。少し飛びます。貴重な動植物の保護・保全活動も積極的に行われていますが、民有地内に育成地がある場合が多く、山林所有者との調整等が必要となっていますということが書かれています。こういった現況を把握した上で、課題が4つほど上げられていますが、今回私の質問に関連するところの3つを御紹介させていただきます。
 貴重な動植物の生育・生息地の保護、保全や、本市の生物多様性の保全を図る必要があります。
 2番目です。可児の自然をあらわす特徴的な環境である里地里山については、持続可能なライフスタイルの一端を担うだけでなく、生物多様性の面からも貴重な地域資源として、里地里山の保全を図っていく必要があります。
 3番目です。無秩序な開発の抑制による自然環境を考慮した土地利用の推進を図っていく必要があります。こう書いてくださっています。
 そして、守るべき対象、これを重要な地域資源として6つ上げてくださっています。鳩吹山、木曽川、可児川、そしてあと3つ、これは具体的な植物の固有名詞が書かれています。カタクリの群生、ミカワバイケイソウ、そしてシデコブシです。今回、私が上げる全ての植物がこの中に含まれているということを、まず冒頭に御紹介申し上げました。
 そこで、質問でございます。
 お手元に、議員の方、執行部の方に資料をお配りしています。最初が地図になっています。地図と写真、それで地図の裏面は質問2に使うものでございますので、最初はこの地図と赤土が出た写真をごらんいただきたいというふうに思います。
 質問です。ミカワバイケイソウ群生地の上流域近くが、現在開発されています。
 ちょっと質問を途中でとめます。
 これが今開発中、お写真でごらんいただけるところのものであるというふうに思います。これが開発で、山を掘った後で赤土になっていますけど、その奥の緑のところ、これが今申し上げましたミカワバイケイソウ、ショウジョウバカマ、シデコブシ、カタクリ、こういったものが繁茂している貴重な里山でございます。そして、この緑の山の向こう側が柿下地域になります。
 それをわかりやすく地図でごらんいただこうというふうに思います。
 この赤で囲った部分が、今赤土が出ていた開発地域です。そして、太い黒い線があると思います。これが皐ケ丘9丁目と桂ケ丘を結ぶ赤道、この山全体の分水嶺になっています。一番高いところで、この分水嶺からこちら側、広い側は、水が柿下側に流れ、この分水嶺から、こちらは大森のほうに水が流れる地形になっています。
 そして、オレンジ色で示したものが、ミカワバイケイソウの生育地です。ほとんどのミカワバイケイソウ、およそ9割がこちら側に集中しています。そして、1割がこちらにあるという、数的にはおおよそそういう数、ことしの数えていただいたものの総合をしても、大体そんなものではなかろうかと思っています。
 それで緑色で示した場所、ここがカタクリ、少し下流にミカワバイケイソウがありますけれど、その100メートルも離れていないと思いますけれども、カタクリが群生し、シデコブシが咲き、ギフチョウが舞う森です。この一帯、ヒメカンアオイですとかカンアオイがありますので、この一帯にギフチョウが舞います。
 それで見ていただきたいのは、この黒い線の上に細い黒い線が載せてあります。開発区域、今赤い囲いがしてありますけれども、この開発業者の方がこの土地も一緒に取得をされましたので、この開発がもしこちらに進むようなことがあれば、ごらんになっておわかりいただけると思います。ミカワバイケイソウ、これ一の沢、千四百何本、一番ミカワバイケイソウが今生えている場所ですけれど、その水源地は実にこの分水嶺、この赤道のすぐ下が谷のようになっていて、ここで水を集めて、その水が今ミカワバイケイソウを養っています。二の沢、カタクリが咲いているところも同様です。この稜線のすぐ下がおわんのように沢になっていまして、その沢から流れ出る水が集まって、ここのミカワバイケイソウの生育を助けているわけでございます。もし、この開発がこちらに進んでくるというようなことがあれば、確実にこの水源を断つということは、この図を見ていただければおわかりになるところではなかろうかと思います。非常にこれに私は心を痛めているところでございます。私だけではなく、これを見た方が、やはり皆さん心配していらっしゃるところです。
 そして、今回この質問をするために、確認のためにリニア新幹線の進路図をいただきに参りました。この点々で示してあるのが、リニア新幹線の進路図です。この二の沢の一番の水源地のところをまさしく通過しているようでございます。これも今回やることを決めて、それでその後に地図をもらいに行って、載せてみて、ああこういうことだったんだということに、初めて私自身は気づいたところですが、多分もう執行部の方はこういったことを把握されて、何らかの手だてを打ってくださっているもんだというふうに思います。ミカワバイケイソウは、市の天然記念物に指定されているものでございます。
 ここで、質問を続けさせていただきます。今後のミカワバイケイソウの保護をどのように進められるのかをお伺いいたします。
 2点目の質問でございます。
 ミカワバイケイソウ群生地近くにある、今も地図で御紹介いたしましたカタクリの群生場所には、頭上にシデコブシが広がり、カタクリの花が一面に咲くころには、カンアオイから育ったギフチョウが舞う、本当に美しい姿を見ることができます。ところが、ことしはそれらの場所を倒木が覆い、保全が危惧されているところでございます。
 お配りした資料の地図の裏をごらんください。
 現況がこういった状況でございます。こういった状況で倒木が覆っています。それだけではなく、低木というのか、土の上にいろんな低木が生え始めているような状況でございます。これも違った角度から見たものですけれども、全体をこういう形で、ミカワバイケイソウの二の沢の上流ですけれども、こういった形になっています。本来なら、カタクリが繁茂する場所ですから、これは議会だよりの表紙を飾ったカタクリでございますけれども、本来ならこんな形が一番ふさわしいいい形なわけです。そして、こんなふうになる前は、こういうカタクリの上にギフチョウが舞う姿が見られる場所でございます。それが今こういう状況がなっているのが実態でございます。
 ギフチョウが絶えていくということが言われています。今ギフチョウは春の女神、あるいは自然保護キャンペーンのモデルのような形で、各地でいろんな自然保護の取り組みのキャンペーンとして使われておりますけれども、このギフチョウが減っていく大きな理由が2つございます。いわゆる森の地面が荒れるということ、そうするとカンアオイ、卵はカンアオイの裏に産みつけられますから、それでカンアオイを食べて幼虫が成長します。成虫になった後は、このカタクリの蜜を吸って生きていきます。ですから、こういう状況であっては、カンアオイが育つことも、蜜を吸うカタクリが生えることも非常に難しい状況になっているというふうに皆さん心配しておみえになります。
 私はここへ毎年行っています。いろんな観光地も行ったつもりでございます、それは世界も含めて。でも、この場所というのは、どんな観光地にも引けをとらない非常に重層的な価値の高い本物の存在する、非常に大切な場所であるというふうに私は思っています。小・中学校で挨拶をさせていただく機会が議員ですからございます。そんな折、子供たちに対して、こういったすばらしい自然があなたたちのすぐ近くに息づいている、そういったところで皆さんは育っていますというようなことをお話をさせていただくことがございます。
 質問の続きを読ませていただきます。
 持続可能な保全を目指して、有用な地域資源として何とか生かしていくことができないのかをお尋ねさせていただきます。

市の回答

教育委員会事務局長(高木美和君) それでは、1番目のミカワバイケイソウ群生地の保護を今後どのように進めていくかについて、まずお答えしたいと思います。
 市は、平成7年に市内柿下地内のミカワバイケイソウ自生地1カ所、1万782平米を地権者に御理解をいただき、天然記念物に指定しております。これは、ミカワバイケイソウが東海地方の固有種であり、市内では最も自生する数が多い場所という理由によります。市はこの自生地を保護するために、次のような対策を行ってきました。
 1つ目は、採取禁止の注意看板の設置です。
 2つ目は、5月の開花時期などにパトロールを兼ねて状況調査を行っていること。この際には、文化財審議会委員等の有識者も同行していただいております。このときには、アドバイス等をいただいております。
 3つ目は、指定地や周囲の状況変化に係る情報への対応です。水流に支障のあるものの除去などを行っています。
 また、この自生地は天然記念物指定地ですので、当然のことながら、現況変更の行為は制限しております。
 このような中、この自生地における生育状況は良好に保たれ、ことし5月7日の調査におきましても、1,431本の生育を確認し、そのうち86本が開花しました。ここ数年を見ましても生育本数に問題はございません。今後とも専門家の意見をお聞きしながら、極力現状の生育環境を保ちつつ、有効な保護策を行ってまいります。
 また、議員御指摘の上流域近くの開発区域についてですが、この流下経路は、ミカワバイケイソウ自生地の沢とは、尾根を挟んで西側の谷へ向かうものであり、開発による自生地の影響はほとんどないと考えております。この自生地や他の湿地の保全については、開発に先立って、教育委員会や環境課から湿地や希少種の保護、保全をとるよう意見を出し、事業者の取り組みを促しております。今後も文化財指定地や希少種の自生に影響を及ぼす可能性のある開発等については、事前協議の中で指導してまいります。
 2つ目の、ミカワバイケイソウ群生地の近くにあるカタクリやシデコブシの群生地の保全や、地域資源として生かすことについてにお答えします。
 議員御指摘の場所は、ミカワバイケイソウ自生地の東側に位置する、通称神田洞奥ため池のある谷のことと理解いたします。この谷には、カタクリやシデコブシなどの希少種が自生していることは、研究者や環境課との調査で承知しておりますが、現時点では、開発の計画はなく、大きな生息環境の変化もないと思っております。希少種の自生に影響を及ぼす可能性のある開発等については、可児市市民参画と協働のまちづくり条例に基づき、事前協議の中で指導してまいります。議員が言われる持続可能な保全を目指すには、環境を大きく変えないことが前提であり、余り人が立ち入っていない場所においては、調査等による最小限の立ち入りにとどめることも大切だと考えております。
 また、有用な地域資源として生かすことについては、この持続可能な保全が可能であることを前提とする必要があると考えます。一般に公開されている湿地などは、人が近寄りやすく、もともと開けている場所が多いと思います。しかし、この場所については、人が近寄りやすい場所には思えません。また、この一帯は全てが民有地であることも注意が必要でございます。現状では、地域資源として生かすことよりも、保全を優先して考えていきたいと思っております。以上でございます。

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