2015年1月26日月曜日

リニアに関する土岐市民の意見(公聴会での公述)その7

  
このリニア中央新幹線には問題が山積しております。しかし、今日は時間も無いことです ので、ウラン鉱床についてのみ問題を提起したいと思います。
    岐阜県の東濃地域というのは、多くのウラン鉱床が点在をしております。JRはリニアの
   路線はウラン鉱床を回避して設定したということが、準備書には書いてありますが、しかし
   これはJR自身がウランの有無を調査して回避したものではなく、既存の文献を参考にして
   
作り上げた手抜きの路線計画です。その文献というのは、独立行政法人日本原子力研究開発
   機構、旧動燃のものであります。JRは事業者として独自にウラン鉱床の有無を調べる責任
   があると考えます。
    私は、近々瑞浪市に転居する予定でいます。その転居先、瑞浪市日吉町宿のすぐ北をリニ
   アの中央新幹線が走り、西側には非常口が出来るということがわかりました。近くには、宿
   洞ウラン鉱床があるということで、いろいろと調べてみました。宿とか宿洞の地区は花崗岩
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(7)土岐市在住の公述人G氏

 このリニア中央新幹線には問題が山積しております、しかし、今日は時間もないことですので、ウラン鉱床についてのみ問題を提起したいと思います。
 岐阜県の東濃地域というのは、多くのウラン鉱床が点在しております。JRはリニアの路線は、ウラン鉱床を回避して設定したということが準備書のはかいてありますが、しかし、これはJR自身がウランの有無を調査して回避したものではなく、既存の文献を参考にして作り上げた手抜きの路線計画です。その文献というのは独立行政法人日本原子力研究機構、旧動燃のものであります。JRは事業者として独自にウラン鉱床の有無を調べる責任があると考えます。
私は、近々瑞浪市に転居する予定でいます。その転居先、瑞浪市日吉町宿の直ぐ北をリニアが走り、西側には非常口が出来るということがわかりました。近くには宿洞ウラン鉱床があるということで、いろいろと調べてみました。宿とか宿洞の地区は花崗岩が多くて露出しております。放射線量を測定器で測ったところ、花崗岩そのものは毎時平均 で 0.5 マイクロシーベルトもありました。また、地上から1メートルのところでも毎時 0.2 マイクロシーベルトもあり、これをわかりやすく1年間に換算してみますと、国が定めてい る年間許容量の1ミリシーベルトを超えてしまうということがわかりました。これはこの地 区の花崗岩の影響だと考えます。つまりそれはウランが地下に眠っている可能性が高い地域 だということです。それで、もちろん原子力開発機構の文献にも宿洞のウラン鉱床は記載さ れており、それをJRが回避したと言うとおりに、路線からは外れております。しかし、宿 洞区という場所を路線が通るということも確実であります。宿洞は名前のとおりに洞がいく つかありまして、ウランが路線近くにも眠っている可能性があります。ですから実際に現地 をしっかり調査しなければいけないと考えております。文献はあくまで文献であり、実際と 必ずしも一致するとは限りません。あるジャーナリストが原子力開発機構に取材した折に、 職員にウランの有無を確認したところ、実際には掘ってみないとわからないと答えられたそ うです。そのような不正確な文献をもとにウランを回避した、と言われても信用ができませ ん。まだ他にもウラン鉱床が点在している可能性があります。JRは、「放射線量が高い掘削 土が確認された場合は、法令等を参考に適切に対処します。」との見解を述べていますが、と んでもないことです。ウランは決して掘削してはならないものです。ウランは簡単に処理で きる物ではありません。一度掘削してしまえば、ラドンガスが発生し続けます。現に、月吉 地区の正馬様という所では 10 年以上前に旧動燃がかつてボーリング調査した以後、ラドンガ スが発生し続けており、現在も月吉公民館では日常的に計測器で測っている状況です。ラド ンガスは肺がんの要因ともなります。もうこれ以上のラドンガスはお断りでございます。J Rは、法令で適切に処理します、と言っていますが、これはまるでウランの害が無くなるよ うな言い方ですが、これも問題があります。何だか住民を誤魔化しているような感も否めま せん。岐阜県はJRに対して、ウランの有無を事前にきちんと調べて、もしウランが確認さ れたなら路線を変更するように強く求めてください。絶対にウランを掘削しないことが地元 民への責任であり、義務であります。
もう一つ、ウランに関してですが、JRは岐阜県内の路線の5つの地点でカドミウムやヒ 素などの重金属の調査をしていますが、その調査項目の中にはウランは何故か入っていませ ん。ウランも重金属の一つです。何故ウラン鉱床が点在する地域とわかっていながら調査し ていないのか不思議です。それと、もう一つお願いしたいのは、岐阜県内の中津川から可児 市までの長い距離ですが、その長い距離の中でわずか5つの地点でしか調査をしていません。 路線上の調査地点をもっと増やして時間をかけて、ウランを始め有害物質の有無を調べ、環 境汚染を食い止めるように、強くJRに言っていただきたいと思います。地権者は岐阜県民 です。県民のために一歩も譲らずに交渉していただきたいとお願いします。
リニアの推進派は経済効果を挙げていますが、これは本当に豊かになれるのかなと思って います。自然環境を残していくことこそが、真の豊かさであるのではないかと私は確信をし ています。今多くの国民が求めているのは、自然回帰とスローな生き方です。もう私はこれ 以上の便利さはいらないと考えます。そして、自然を守るためにも反対の意志をこれからも ずっと持ち続けていきたいと思います。以上です。ありがとうございました。 

2015年1月25日日曜日

リニアに関する可児市民の意見(公聴会での公述)その6

(6)公述人F氏(可児市)

リニアが大萱地区を約 1.2 キロメートルにわたり高架上を走行することについて、文化面 と環境面から述べさせていただきます。
大萱には桃山時代に作られた牟田洞窯、窯下窯などの古窯群跡があります。そこでは日本 で初めて白い薬に絵のある陶器が焼かれ、その代表的なものが今日国宝となっている志野の 茶碗の「卯花墻」です。この茶碗の素晴らしさは、􏰀形的に技のかけ方、焼き方全てにおい て優れています。どのような作り手だったのか、どんなふうにこんな面白い物を作ったのか、 想像力をかき立てられます。窯下窯では、黄瀬戸や瀬戸黒の名品が焼かれたことが陶片によ って証明されています。その志野や黄瀬戸の描かれた大らかな筆使いの山々や草木、鳥獣は そのまま大萱の自然であります。その自然が当時と変わらぬ姿で存在していることに、私た ちは桃山の陶工の眼差しを感じ、表現の仕方を考えたりします。鑑賞者としましても志野に 描かれた愛らしい鳥は、桃山の陶工の近くで鳴いていたかもしれないと想像できて楽しめま す。
    その大切な想像をかき立ててくれる大萱の風景が、リニアの高架によって分断されること
   は、歴史的、文化的背景の損失になります。桃山の焼き物に感動された方が、そのものがど
   のような所で生まれたのか知りたくて大萱に訪ねてこられたとき、その風景が分断されてい
   たらどんなに失望されるかと思います。桃山文化の伝承のため発祥の地のため、風景を壊さ
ないでください。この考えは、JRのリニアと山里の風景の対比が良いとする見解と相反するものです。何とぞご考慮をお願いいたします。
また、自然環境面について、11 月にJR東海が作成された、環境影響評価準備書に対する 意見の概要及び事業者の見解の中の鳥類に絞って意見を述べさせていただきます。事業者の 見解として、「1、繁殖環境への影響は特に大きいものではない。2、消失する環境に類似し た環境に代替巣を設置する。3、徐々に工事に伴う騒音に慣れさせる。」という言葉が並んで いますが、今日までこの里山の環境を守り続けるために努力を重ね、ときには声を上げてき た大萱にとりましては、それらの言葉は机上の空論にしか受け取れません。「1、リニアの高 架上に営巣地がなければ特に影響はない。」と書かれていますが、繁殖環境への配慮に欠くも のです。リニアの走行によって餌をとる場所が狭められれば雛は育ちません。特に大萱地区 は、ゴルフ場に囲まれているとはいえ、雑木の山が残っているところであり野鳥の餌場です。 年間 50 種以上の野鳥を見かけます。また、大萱の山は春の芽吹き、秋の紅葉を見てもわかる ように、色々な色の芽吹き、色々な色の紅葉が見られます。これはそれだけ草木の種類が豊 富ということです。日本の南限、北限の植物に加え、太平洋側、日本海側の植物があると知 られています。種類が多いということは、それだけ多くの花が咲き、鳥や虫の蜜源になり、 また果実が付けば鳥獣の餌になります。2の「代替巣」の件ですが、どれほど成功例がある のでしょうか。ヤマガラやシジュウカラが巣箱に入りますが、それに入らない鳥もいます。 都会に馴染んでいる猛禽類もいるようですが、それは代替巣とは違います。住処を奪われる ことは大変なことと思います。小手先のことより環境を守っていただきたいと思います。3 の「徐々に工事に伴う騒音に慣れさせる。」という表現には一方的な見解を感じます。縄張り が重なったり、環境が異なれば、結局個体数は減るのではないでしょうか。
今まで野鳥の弁を話してきましたが、段々とJRの見解書を読んでいるうちに、これは大 萱住民に対しても同じことを言っているのではないかという気がしてきました。先にも述べ ましたが、大萱住民は事ある毎に環境を守る努力を重ねてきました。規定の範囲内という判 断の上でも川は徐々に汚れ、魚は減ってきました。少しぐらいなら良いだろう、代わりにこ うすればよいと思うほど、自然は強くないような気がします。何故なら、鳥や虫たちは今の 環境を精一杯生きているので、急な変化には付いてはいけないのではないでしょうか。こう いう現実を知っている住民は、徐々に慣れさせるという急な変化に恐ろしさを感じますので、 JRの見解の甘さは放っておけません。あの鳥がいなくなったと嘆いても遅いのです。今度 また国レベルの工事が始まれば、この土地はかつてないほどの損害を受けます。何とぞこの ことをご理解ください。以上です。 

2015年1月23日金曜日

リニアに関する可児市民の意見(公聴会での公述)その5



私の公述の目的は、中央新幹線の計画そのものに反対するものではなく、私が暮らしてい る場所、可児市久々利の大萱地区において発表されている地上路線を地下路線に変更される よう働きかけることです。これは私個人の思いのみならず、また現代のみならず、過去より 今に至るまで地域住民の、この地をあるがままの姿で残したいという思いが込められていま す。これより、この地をあるがままの姿で残したい理由を述べさせていただきます。

まずはこの地における歴史について簡単に説明させていただきます。大萱地区は今から 400 年以上前の桃山時代に美濃焼の名品を数多く作っていた場所です。今でこそその史実は揺る がぬものとなっていますが、それが改めて世に知られるようになったのは、今から約 80 年ほ ど前のことです。それまで数百年の長きにわたって、この地が志野の産地であることは忘れ 去られていたのです。この地が志野の生産地であったことを発見し、この地で志野の再現に 努め、ついにはその功績によって、重要無形文化財保持者いわゆる人間国宝までになった人 物がいます。その人物の名は荒川豊蔵、私の曽祖父にあたります。荒川豊蔵は昭和初期に大 萱において志野のかけらを発掘し、志野の再現を目指してこの地に移り住み、長い年月を経 て志野の再現に成功したとされています。この一連の事業の中において極めて重要な役割を 果たしたのが、大萱古窯跡群の存在でした。古い窯跡より志野の焼成に最適な窯の構􏰀を見 出し、発掘された陶器のかけらを参考にして、材料とする粘土をこの地より掘り出して使い ました。
このように大萱古窯跡群という場所は、桃山時代の古い陶器を焼いたというだけではなく、 その痕跡をもとに昭和の志野の再現に結びつけたという志野の出現と再現とを担った重要な 意味合いを持った場所なのです。それは窯跡のみならず地形その他全ての環境が桃山時代の 姿を残していたからこそできた再現であったのです。しかし、大萱地区はその後急􏰁に開発 によって従来の環境を失ってきました。荒川豊蔵は、その開発を時代の流れと諦観しつつも、 少しでも貴重な環境を残そうと、私財を投じて窯跡とその周辺の土地を守ってきました。
そして時は下り、その弟子であった父がその技法を受け継ぎ、この地において陶芸活動を 行っています。路線計画地となっている土地は当家が苦労の末に開拓した場所です。原料と なる土とそれを精製するための水をたたえ、燃料となる木材を産出するなど、陶芸活動を続 けていくためには欠かせない場所です。それのみならず、森の恵みを享受できる里山でもあ ります。これは何物にも代えがたい我々の貴重な財産であり、これを失うことは曽祖父から 父へそして私へと、我々が長年かけて守り、築き上げてきた全てを失うに等しいことです。
中央新幹線が地上を通過するにあたって、我々が失うであろう文化は二つあります。一つ は桃山時代と変わらない伝統的な陶芸活動の文化、そしてもう一つは自然と人とが共存する 里山生活の文化です。これらの自然と密接した生活様式は、かつては日本各地において普遍 的に存在する文化ではあったものの、今では各地で失われています。我々の生活は、この文 化を実践するものであり、これを破壊することは一つの文化の終焉を加􏰁させることに他な りません。また現代の社会において当たり前な便利さを選ばず、豊かな自然と静謐な環境に 囲まれた風土の中で、文化を守って一生を過ごすことを常に選んできた我々にとって、この 環境が乱されることは人生の目的を失うものであり、全くもって耐えがたい事態です。古来 より続く大萱古窯跡群の景観を乱すことについても、国内はもとより海外からも懸念や反対 の声が寄せられています。これまで残されていた景観を、今この環境を重んじる時代に破壊 する計画は信じがたい暴挙です。遺構そのものだけではなく景観も含めて史跡です。先ごろ 世界遺産となった富士山では、山だけではなく、そこから離れた三保の松原からの風景も含 めて世界遺産とされた、そんな事例があったことも思い出してください。400 年以上もその 概容を残し、今なお多くの人間がそこに密接した文化を持った場所は、世界的にも貴重なも のではないかと思います。昨年になって古窯跡群の再調査が始まりましたが、それによって これまで知られていなかった事実が判明しつつあります。大萱古窯跡群は枯れつくした遺構 なのではなく、失われた文化を再発見する可能性を秘めています。文化の継承とは何でしょ うか。文化とは記録があれば何時でも再現できるものではありません。そこに密接に関わる 人間が多様な形でいてこそ継承できるものではないでしょうか。東京から名古屋まで 286 キ ロメートルの路線計画において、大萱地区の地上部はわずか 1.5 キロメートル程度です。で
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すが、たった 1.5 キロメートルを地上にすることによって、永遠に失われる文化がいくつも あるのです。
JR東海側によれば当地区への環境への影響はほとんどない、と公表されています。「ほと んどない」とはどういうことでしょうか。何を基準にした「ほとんど」でしょうか。静かな 山里に高架や掘割を作り、これが環境に影響を与えないという説明を、あるいは環境基準ぎ りぎりの騒音だから影響がないという説明を、あるいは意見書によって我々の持つ生活と文 化を守りたいと願った要望を全く省みない見解を、我々はどう受け入れればよいのでしょう か。美濃帯その他地質的な理由も挙げられてはいますが、他に方法がないのであればともか く、技術的に可能な選択肢がある以上は、今現在この地で暮らす我々住民の生活と文化を乱 すことは疑いようもない計画を取り止め、影響が最小限となる地下路線への計画変更を強く 要望します。JR東海の経営理念に「健全な経営による世の中への貢献」という文言があり ます。計画変更によって我々の生活と文化を未来に残すことは、まさしく「健全な経営によ る世の中への貢献」に相違ないはずです。
最後に繰り返しますが、この地における生活と文化を守りたい、それが我々の願いです。 我々はこの環境で生活する文化を次世代に残す使命を帯び、生きていると信じて疑っていま せん。私自身のみならず地域住民一同、あるいは岐阜県民の皆さん、さらにはもっと多くの 国内外の方々にとっても、この文化や環境、景観の継承は大切なものであると思っています。 それを継承する人がいなくなって消えていくのならともかく、継承の意思を持つ人がいるに もかかわらず、その基盤である環境を破壊されることによって消えてしまうというのは、あ ってはならないことではないでしょうか。今から 80 年前に始まった志野の再現は大事なこと を示唆しています。忘れられていたものは蘇るかもしれません。しかし、破壊されたものは 二度と戻らない。過去より続く文化と環境を未来に残すのは、今の時代に生きる我々の義務 ではないでしょうか。以上をもちまして私の公述を終わらせていただきます。残念ながら時 間がなかったので写真とかを準備できませんでした。機会があれば一度見ていただきたいと 思います。見た上で残す価値があるものなのかどうか、判断していただきたいと思います。 ありがとうございました。 

2015年1月22日木曜日

リニアに関する可児市民の意見(公聴会の公述)その4

(4)公述人D氏(可児市)<プロジェクター使用>

   私は久々利地内で先祖の代から農業しながら生活をしている者です。よろしくお願いいた
   します。一連のリニア説明会や意見書に対するJRの見解は通り一辺倒で、トンネル方式に
   してほしいという要望に対して真摯に受け止めているという姿勢が感じられません。再度こ の場をお借りして、リニアの久々利大萱地区高架計画に対し、トンネル方式に変更してほし いという立場からお話させていただきます。
久々利は歴史のある町でございます。泳宮(くくりのみや)という所に「ももきね 美濃 の 国の 高北の」という万葉歌碑があります。「泳の宮に 日向ひに 行靡闕矣(ゆきなびか くを) ありと聞きて 我が通ふ道の 奥十山(おきそやま) 美濃の山」というふうに、ちょ っと見ていただくとわかると思いますが。これは今から 1700 年ほど前、大和の国から偉い方 がこの地にいた豪族「八坂入彦命」の娘、八坂入媛に恋い焦がれ、この地を訪れたときの心 情を詠んだ歌と言われています。ここに出てくる「ももきね」という始めの言葉ですが、こ れは稲がよく分けつをしてお米がよく採れるという意味だそうです。また、「奥十山 美濃の 山」とありますが、久々利の浅間山の一帯を地元では今でも奥十山と呼んでいます。大萱地 区もその奥十山に含まれています。日本書紀に書いてあるということですが、偉い人が大萱 を訪れて、八坂入媛を娶られて帰られたということです。これが八坂入彦命の塚であります。
    このようなことから久々利は大変歴史の深いところであります。そのすぐ側をリニアが通るというふうに計画されています。このような看板もあります。この看板からリニアが通る方向を見たところでありますが、向こうに見える山のところからトンネルを抜け出て左の方へ走っていくというわけであります。
そして、時代は下り、安土桃山から江戸時代にかけて大萱、大平地区は陶器が盛んに作ら れました。国宝「卯花墻」に代表される志野、現在、牟田洞古窯跡の発掘を可児市にやって いただいています。あるいは織部、黄瀬戸、古瀬戸などと称する陶器が焼かれたわけです。 その古窯跡群が点在しており、まさに美濃焼の聖地であります。故人間国宝の荒川豊蔵先生、 あるいは加藤十右衛門先生はじめ多くの陶芸家がこの地を慕われ、この地で創作活動をして こられました。現在も7、8名の方が創作活動を続けておられます。この久々利の大萱はそ のようなことから、久々利、可児市の人々の心の拠りどころ、癒しの地となっていると言っ ても過言ではありません。そんな素晴らしい歴史、文化をこの地に残していただいた先代の 方々に感謝しております。現在、陶芸作家も二世、三世の時代に入ってきております。これ は古窯跡群の「えんごろ」という陶器を焼いた跡が今でも見られるわけです。これは荒川豊 蔵資料館への入口でありますが、このすぐ上をリニアが右から左へ走っていくという計画が あります。これはリニアが中津川の方に走っていくという計画をされている、向こうの谷へ 向かって走っていくというふうに計画されております。そのような場所にリニアが高架橋と して通過する。景観が損なわれるばかりか、近隣で生活する人々の不安は計り知れません。 陶芸作家の創作活動にも意欲が湧かないのも当然であります。可児市行政もこの芸術活動や 文化の継承に一生懸命後押ししていただいています。そのような地域にリニアは似合いませ ん。走らせて欲しくありません。新旧融合の模索と言われていますが、この地のこの組み合わせによるメリットは特に感じられません。
    次に汚染水に関してありますが、久々利一帯は美濃帯と呼ばれる砂岩、チャートを主とした堆積岩の地盤があります。その中の黄鉄鉱成分が水と反応し酸性水を作り出し、さらに酸 性水は他の鉱物と反応して重金属などの有害物質を溶出し汚染水となって河川に流出し下流 域に被害を及ぼすということになります。現に約 10 年前に東海環状線の工事に伴う残土が 久々利川上流域に埋められたため、このような事故が勃発し、下流域の水田はその被害を受 けました。先祖代々受け継いできた大切な水田、久々利の誇りである稲作に悪影響を及ぼし ました。現在もその対策として中和プラントを稼働させ水処理をして下流に流しています。 中和プラントを維持管理していくのにも毎年多額の経費がかかっています。こんなことは懲 り懲りです。薬品で中和をすれば水は良しというものではありません。元の水にはなかなか 戻りません。岩石や地表面は何千何万年とかかって風雨にさらされ、地表面が安定した安全 な状態になり、人を含めた生き物が生息できるのです。何千何万年とかけて自然が作り上げ てきた安全な地表が、表皮を削ることで一瞬にして振り出しに戻ります。封印されている物 を表にさらす。まさに毒水の入った容器に穴を空けるようなものではないでしょうか。見解 書には、トンネル化すると残土が余分に出るから高架が良いとか、たまたま窪地であったか ら地表に顔を出した、とありますが、何か子どもだましのように受け取れます。そんな回答 しかできないJR東海さんに本当に安全で環境に配慮したリニアができるのか不安です。こ れが美濃帯と呼ばれるものです。
次に移ります。大萱地域は氷河時代を生き抜いたと言われるギフチョウの宝庫であります。 そのギフチョウの一大生息地をリニアは通るように計画されています。ギフチョウが生息す るためには餌であるカンアオイの存在が不可欠であります。それを支える自然林が必要です。 順調な生態系があってこその存在で、それが一度崩れるとなかなか元には戻らないと言われ ます。これは久々利のダムであります。これがギフチョウであります。こんな久々利大萱を なぜ地上で通そうとするのか。何の事前の相談もなく線引きをして、ここを通りますから了 解をしてほしい。全く理に適っていません。地上に顔を出すことになれば、工事の大拠点と なることは避けられません。約 10 年の工事期間、そして事後処理にかかる時間を合わせると 余りにも長い歳月、地元住民は耐え難いです。こういった久々利区民、可児市民の声に真摯 に耳を傾け、誠意を持って受け止めて対応してほしいと思います。JRはこれらのことをよ く理解しルートをトンネル化に方向転換されることが、これからのJRに大きな力と大きな 利益をもたらすことになると考えます。今からルートを変更することは、お金も時間もかか ることになるから今更潜れないということだと思いますが、お金を使うということはこうい うところで使うことに価値があると思います。このリニア計画に携わるJRの方々、また行 政関係者の方々、皆さん頭脳明晰の方ばかり。知恵を絞って出し合って、何とかこの地区の ルートを地上を通らないトンネル方式に変更していただきたい。そういうことで久々利地区 の問題は全て解決されると思います。是非ともよろしくお願いいたします。これで私の公述 は終わります。ご静聴ありがとうございます。

リニアに関する可児市民の意見(公述会での公述)その3


(3)公述人C氏(可児市)<プロジェクター使用、資料配布>
    
リニア中央新幹線の大萱地区を地上区間とする件で、岐阜県に対して環境保全の観点から
   意見を述べさせていただきます。

では最初にJRが発表した大萱地区の地上区間のルート図です。この部分は高架橋になっ ております。この部分が地表式又は掘割となっている箇所です。それで、正確ではございま せんが、私が大体想定した高架橋の通る場所を色で説明させていただきます。この写真は荒 川豊蔵資料館の前から墓地の方向を撮った写真です。墓地から15メートル地点の高架橋の想 定される位置が大体この位置にあたります。ですから豊蔵資料館から見るともろにこの部分 が見えるということです。続いて御嵩町側からの写真です。ここに県道土岐線がございます が、その間を高架橋がこういう形で横断します。JRの文書では高さが約 20 メートルとなっ ています。続いて県道付近から多治見側の想定される高架橋の真下から向こうに向かって撮 った写真です。この線は、ここに墓地がありましたけれども、こちらへ地表式又は掘割とな っている箇所を線で示したものです。この部分は一体どのように改変されるのであろうか、 大変心配しているところです。続いて御嵩町からトンネルの出口になったところですが、地 表式又は掘割となっている箇所で工事ヤードがここに作られる可能性がある場所です。

JRは地上区間とした理由を、準備書の説明会と事業者の見解でこのように述べています。 一つには、ウラン鉱床や住宅地化が進展している所を回避した。また、大萱地区が窪んだ地 形となっていること。二つ目には、大萱地区を地上区間とすることから、この付近のトンネ ル区間において自然流下の排水が可能だと言っています。それからもう一つは、ため池を回 避する。それから防災上、長大トンネルの前後には列車長 400 メートル程度以上の地上区間 を設置する必要がある。五つ目に、名古屋駅からの距離が 20 キロメートル延びて 55 キロメートルとなることから万が一の際に様々な問題が生じる。それから六つ目に、重金属が流出しやすい美濃帯の削岩残土の量を少なくする。

高架にしなければならない理由は絶対なのか。変更できないのか。私は、地上区間にでき ないJRの見解には絶対に同意できません。地上区間にしなければならない理由はJRの身 勝手な言い分だと、私は思っています。トンネル区間が 55 キロメートルになるとか、防災上 400 メートル程度以上の地上区間が必要だと述べているけれど、青函トンネルはご承知のよう に 53.8 キロメートルがトンネル、海底トンネルはそのうち約 22 キロメートルです。リニア の場合は約5km に1か所、非常口、斜坑などが作られることから、問題は生じないと思って おります。続いて美濃帯に含まれる重金属の処理方法は確立されていることから、地上区間 とする理由にはならないと、私は思っております。最後ですが、トンネルから自然流下の方 法でなくても、非常口などからの排水が可能であると、私は思っております。

続いて、文化財に関するJRの言い方は、「大萱古窯跡群といった埋蔵文化財をできる限り 回避するとともに改変区域や造成土量をできる限り小さくする。高架橋は有識者による景観 検討会を設置し、景観の創出と地域景観との調和の両立を目指した構造形式等の検討を行っ た。高架橋は、埋蔵文化財をまたぐようにすることから文化財に与える影響を配慮した。」。

私は、JRに対して地上区間を地下区間に変更を求める理由をこれから述べたいと思いま す。

まず最初に、岐阜県の文化財になっている大萱古窯跡群を取り巻く環境が大きく改変さ れる恐れがある。これは現在の大萱地域の状況です。先ほどもお話がございましたが、この 画面にある古窯跡群、ここに牟田洞という古窯跡。ここに4つの窯跡があります。ここに窯 下窯。これも4つあるそうです。ここに弥七田という窯跡がございます。この古窯群と、か つてここに窯があったと思われるところが3か所あります。画面全体で、先ほどもお話があ りましたように 13 軒の方がお住まいになっています。そのうちこの色で示された部分が、実 は陶芸家の皆さんが住んでおられる場所です。大萱地区を地上区間とした場合、限られた地 域に陶芸家が居住する自然豊かな里山集落で、県の指定史跡の大萱古窯跡群がある。このよ うな地域は全国的にも極めて珍しく、この集落の環境、景観が大きく改変されます。それか ら美濃焼の発祥の地で、安土桃山時代から志野焼に代表される国宝「卯花墻」は牟田洞窯で 焼かれた場所です。また、古窯本体や灰原だけでなく、住居や工房、作業場、搬出路などが 一体として構成されていることから、この付近の環境、景観が損なわれる。それから、もう 一つ大事なことは、牟田洞窯と窯下窯付近の景観が高架橋で分断されます。現在、可児市は、 牟田洞古窯の発掘と窯下古窯の発掘計画など大萱古窯跡群の国の史跡指定を目指して、国に 働きかけることにしていますが、これができることによって大きなマイナスの要因となる。 以上の理由から地上区間をとりやめて地下区間にすることを望むものです。
第二の理由は、高架橋などが建設されたら橋台の基礎工事、地表部分の切土による造成、 工事ヤード、久々利川に架けられる仮橋、工事用道路敷などによって現在の自然環境が破壊 され自然が回復するのに長い年月を要すると思います。地上区間とすることによる環境・景 観に与える影響は、高架橋の橋台の数、地表式又は掘割箇所への侵入ルート、工事ヤードの 説明がないため、準備書に記載されているものを参考にしてこれは試算したものです。ここ に工事車両運行ルートがございます。この林道とここの県道を使ったルートになっています。 全体として、この部分とこの部分が大きく改変される恐れがあるということです。続いて大 萱地区を地上区間とすることによって自然環境が破壊されると先ほども言いましたように、 戻るまでに長い時間を要すると思います。景観検討会で構造形式等の検討を行って建設して も約4ヘクタールの土地が改変されることに全く変わりはありません。高架橋や地表式又は 掘割箇所の詳細説明がないのに大萱地区を地上区間にする案を絶対認めることはできません。
 
発言の最後になりますが、大萱地区を地上区間とした場合、工事及び高架橋に伴う自然環境の破壊、農業用水の水源である久々利川の汚濁、土砂堆積など大萱地区はもとより久々利の住民にとってもマイナスの要因だけだと、私は思っています。最後になりますけれども、
   この計画が発表されたときにJRの社長が大萱地区の高架橋は仕方がない、地下へ潜ること
   は大変難しいとの表現を記者会見で発表されました。もしそのようなことを言って通ってい
   くのならば、私はこの計画に断固反対するものです。これをもって発言を終わらせていただ
   きます。

2015年1月21日水曜日

リニアに関する可児市民の意見(公聴会での公述)その2


(2)公述人B氏(可児市)

今回、私は、このリニア計画路線の地上部分に予定されております、まさに大萱の中心部 の村落に住む住民でございます。地下化を希望する意見を述べさせていただきます。

ちょっと話は長くなるんですが、久々利大萱の村落というのは、わずか戸数が十数軒しか ございませんが、古くから、桃山時代の昔から焼き物の地として知られております。そして この風土を慕って、何十年も前からこの地に移り住み、作陶生活などをつづけている人たち が今現在でもここで生活を営んでおります。かくいう私もまた結婚してから、東京からこの 大萱の地に移り住み、夫の陶芸生活を支えながらかれこれ 50 年近くになります。その頃の大 萱というのは、都会にはない宝物がたくさんありました。四季折々の美しい自然や、きれい な水、そしておいしい空気、夜ともなれば満天の星でした。これらの自然が与えてくれる様々 な恩恵は、便利な都会生活と引き換えに不便な山里で暮らすご褒美だと今でも思っておりま す。だからこそ不便な生活をも耐え忍んで来れたんじゃないかと自負しております。まだ子 供が小さい子育ての頃は、ずいぶんと不便なことも多々ありました。病院も遠いですし、保 育園も学校も遠い、買い物に行くにも遠くて不自由でしたが、それでもこの里山で暮らす生 活は、この不便さをしのぐほどのすばらしい自然との共生があったのです。

今回、私は、このリニア計画路線の地上部分に予定されております、まさに大萱の中心部 の村落に住む住民でございます。地下化を希望する意見を述べさせていただきます。
ちょっと話は長くなるんですが、久々利大萱の村落というのは、わずか戸数が十数軒しか ございませんが、古くから、桃山時代の昔から焼き物の地として知られております。そして この風土を慕って、何十年も前からこの地に移り住み、作陶生活などをつづけている人たち が今現在でもここで生活を営んでおります。かくいう私もまた結婚してから、東京からこの 大萱の地に移り住み、夫の陶芸生活を支えながらかれこれ 50 年近くになります。その頃の大 萱というのは、都会にはない宝物がたくさんありました。四季折々の美しい自然や、きれい な水、そしておいしい空気、夜ともなれば満天の星でした。これらの自然が与えてくれる様々 な恩恵は、便利な都会生活と引き換えに不便な山里で暮らすご褒美だと今でも思っておりま す。だからこそ不便な生活をも耐え忍んで来れたんじゃないかと自負しております。まだ子 供が小さい子育ての頃は、ずいぶんと不便なことも多々ありました。病院も遠いですし、保 育園も学校も遠い、買い物に行くにも遠くて不自由でしたが、それでもこの里山で暮らす生 活は、この不便さをしのぐほどのすばらしい自然との共生があったのです。
子供たちが裸で遊んだ久々利川の水もまだまだ透明で美しかったし、カッコウの鳴き声が聞こえ、そんなと ころで子育てをできる幸せを感じたものです。しかし、バブル期のゴルフ場開発によってこ の川が汚れてしまい、タガメや水生生物もいなくなりました。決定的なダメージを受けたの は、10 年前に起こった東海環状自動車道路工事による黄鉄鉱による汚染水問題でした。これ 以降、大萱の農家はコメづくりさえできなくなってしまいました。山間部を自動車道が通過 したことにより生態系が変化し、キツネやタヌキの姿も見えなくなりました。この十数年を 振り返ってみても、いつもこの村は開発の波に翻弄され、犠牲になってきたのだと思います。 たった十数軒にしか満たないこの村落は、開発事業者から見れば数の内に入らないという論 理なのでしょうが、しかしここには、先祖から受け継ぎ、次の世代へと営々として営み続け る人々の生活が存在しています。私たち大萱の住民が不便さを忍び様々な困難を耐えて守っ てきた里山の自然が、今またリニア新幹線という巨大な開発事業のために、村の真ん中に 20 メートルにも及ぶコンクリートの橋脚が立つ予定です。これでは村が分断されてしまう、ひ どすぎます。必ずまた生態系に影響を及ぼすと思っております。公共の利益か、はたまた個 人の生活権かという永遠のテーマもあるのでしょうけれども、自然破壊はいったん壊された からには、100 年でも再生は難しいといわれております。今私がかすかに将来に希望を持つこ とができるのは、この村落にはここで生まれ育ち、この土地の文化伝統を守り続けていこう とする若い世代の人たちが育っているということです。

今現在でも幸いにしてこうした次世代の若い人たちがいるのです。JR東海には、どうぞ お願いですからもうこれ以上静かで文化遺産的価値のある村落を荒らすようなことはやめて いただきたいと願っております。そのために、県としても現場で生活している我々の、地元 住民の意をくみ取っていただいて、せめて大萱のルートは地下を通す、このようなご支援を くださるように切に切にお願いするものであります。以上です。 

2015年1月19日月曜日

リニアに関する可児市民の意見(2014年1月9日に行われた公聴会の公述)その1

2014年1月9日に、可児市総合会館で行われた岐阜県公聴会で、可児市民が行った公述(意見)を順次掲載していきます。


公述人の陳述の要旨
(1)公述人A氏(可児市)<プロジェクター使用>
    JRが大森地区に計画している非常口につきまして、公述人として意見を述べさせていた
   だきます。JRがリニア中央新幹線の非常口を、計画予定地の一つとして大森地区に建設し
   ようとしていることに対して、私は建設反対の意見を述べ、非常口は住民の生活に悪影響が
   及ばない場所に移動するよう強く要望します。
この反対の理由は二つあります。まず、今地図に出ていますけれど、非常口周辺の地図と、 後程出ますけれどもJRが作った建屋のイメージ写真がございます。まず地図の方を見てく ださい。反対の理由の一つとしまして、非常口に建設される換気施設の位置、ここが非常口 でございます。ついでに言っておきますが、ここが長洞ため池、ここが星見が丘でございま す。この距離を今から言いますが、ここに民間の家が2軒ほどございます。非常口に建設さ れる換気施設の位置と民家や住宅団地とが非常に近接していること。二つ目の理由は同じ場 所にある長洞ため池は、工事の進行によってそれぞれ入り口が互いに輻湊していることにな り、ため池の機能が損なわれる恐れがあるということが主な理由であります。ため池の件は 後で話をさせていただきます。
まず非常口の計画予定地と住宅とが非常に近接していることについて、JRはこの距離を 200 メートルと言っておりますが、そんなに離れてはいません。実際は 150 メートル前後と思 われます。そしてこの中間にある民家とは 5060 メートルしか離れていないのでございます。 イメージ写真にある建物でございますが、下がイメージ写真、この白い建物があくまでJR が計画している大きさのものでございます。上が現在の風景でございます。JRはまだ発表 していませんけれど、この建物の大きさにつきましては、推定で高さ 20 数メートル、幅は 40 メートルと大きな建物が予測されます。JRは正確な建設場所も示していませんけれど、工 事施工ヤードの面積は1ヘクタールを基準としておりますが、そのような土地はここで確保 することができません。狭い所です。当然ながら、不足分は山を削ることになってくること になります。こういう場所で実際工事が始まれば、それはもう景観どころではないと思いま す。遮蔽壁や建物から来る圧迫感と通気性の問題、そして今後建設機械の稼働による騒音と 振動、さらにトンネルの掘削土の運搬車両の騒音と粉じんの問題など。これに対してJRは いずれもデータも基準値を下回っており、実行可能な目標範囲の中で低減が図られていると して問題はないと評価しています。果たしてそれで良いのでしょうか。何よりも5年、6年 という長期にわたる工事の間、疑念を持たざるをえない環境の中で住民は置かれているので あります。本線の掘削の発生土も行き先がなければ野積みされることになります。私どもは リニア中央新幹線について反対しているのではありません。このような環境破壊につながる ような状況下に住民を置くこと自体が到底理解されないと言っているのであります。
次に近接する長洞ため池について意見を述べます。非常口は計画どおりの場所でやってい くことになりますと、JRはため池の周辺の工事施工ヤードの設置のため、土地の切土や盛 土などの造成、そして作業坑道の設置などに取り掛かることになりますが、先ほど言いまし たように常識的に言えば、このような狭い場所でため池の管理入口と非常口の出入口が相互 に入り込むことになって、ため池の機能を損ない管理業務を非常に難しくすることになりま す。大森土地改良管理組合では、ため池の底抜けの心配を含め、今後の維持管理と運用面で 大きな問題だと指摘しています。もう一つ非常に心配する点は、本線のトンネルから、掘削 土が非常口から大量に運び出されるわけでありますが、その掘削土の中に、黄鉄鉱が混ざっ ているような懸念はないかどうか。もしその中に黄鉄鉱等の物が混ざっているということに なれば、それらが野積みされれば雨によって流出する危険性もあり、ため池はもちろん、大 森川まで汚染されることになります。このような事態になれば大変なことになります。この 先々の禍根を残さないためにもしっかりとした調査も必要であります。
以上、縷々申し上げましたが、JRがなぜこのような問題ある狭い土地を非常口、換気施 設の設置場所として選んだかについては、標高が低く、比較的平地な場所にすることによっ て、トンネル本線まで斜坑が短くでき、結論的には建設コストが低く抑えられるという第一 の効果があると考えられます。私どもは計画予定地の立地条件や住民の方々の将来への懸念 材料を考え合わせると、他にも有効な場所があるにも関わらず、ここでなければならないと いう必然性はどうしても確認できないのであります。近接する星見台団地は近年、名古屋近 郊を始めとする各地域から豊かな緑と平穏な土地を求めて、若い人が住み着いた、いわば新 興住宅地であります。ようやくつかんだ彼らの夢をこういう計画によって壊さないでほしい。 私どもはただ今申し上げた諸々の理由により、JRのリニア非常口の現計画予定地を見直す べきであり、非常口はもう少し多治見寄りにずらすよう要求します。JRは地域の環境アセ スに最大限考慮するなど、地域の特性に応じた検討がさらに必要であると考えます。
最後になりますが、可児市の住宅地における地下トンネルの土被りについて意見を申し上 げます。可児市の丘陵地域では地形や地盤の起伏の差が大きくなっているところがあります が、こういう場所にも民家が点在しています。地下トンネルの土被りはトンネル上部の地表 が最も標高の低い、こうした場所においても最低 45 メートル以上の土被りを確保するよう要 望いたします。以上をもちまして、公聴会の私の公述を終わります。 

2015年1月18日日曜日

新幹線を作った元鉄建公団副総裁のリニア疑問論(北山敏和の鉄道いまむかし より)

篠原武司のリニア疑問論
(新幹線発案者の独り言 篠原武司話 高口英茂記 平成4年刊  p59-68)

篠原武司
田中角栄首相の日本列島改造論のブレーンとして活躍。
明治39年東京生まれ。
鉄道省、日本国有鉄道に勤務。
鉄道技術研究所所長時代に高速鉄道構想を発案し、銀座山葉ホールで高速鉄道講演会を開催した。
これが評判になり新幹線が一般に広く知られるようになった。
昭和39年日本鉄道建設公団副総裁、同45年総裁就任。
昭和54年退任。日本トンネル技術協会会長。平成13年逝去。

中央リニア構想

 これまでの氏の話から、鉄道は2点間を単線的に結ぶべきものではなく、ループになって循環している形のもののほうがインフラストラクチャーとして優れていることが筆者にも理解できた。
 このような新幹線網はまだ出来上がってきていないが、いずれは日本の根幹的なネットワークになるだろうし、それと大都市圈域での、より緻密な通勤新幹線網が将来の日本の鉄道の基本的な骨組となると思う。
 ここで触れておきたいのは現在脚光を浴びている中央リニア構想のことである。
 中央リニア構想は現東海道新幹線の輸送力の限界が迫りつつあることに対して浮上してきた構想である。
 現在の東海道新幹線は、静岡-小田原間の「のぞみ」の年間平均利用率が既に80%を超えている。年間平均80%の利用率ということは、盆・暮れの帰省ラッシュのみならず、春秋の旅行シーズンや、一日で言えば朝夕のビジネスマンの利用が多い時間帯では100%を超え、座れない人が大勢でているということである。
  一方、列車本数の増発に関しては「のぞみ」「こだま」の系統数、線路状況や駅ホーム等の広さからして、現在の本数でほぼ満杯になりつつある。 このため、いま注目を集めている新幹線通勤もいずれは座れない通勤になるおそれがあるし、そもそもJR各社が料金を高くして、新幹線通勤自体を締め出す方向にすら動き出しかねない様相となっている。

工事線の中、成田新幹線は京成スカイライナーの乗入線に代わった。
これは石原運輸大臣の決断で成田空港高速鉄道が設立されたのがきっかけになっている。(ちばの鉄道一世紀:白土貞夫p177)
平成23年現在、整備計画線は青森、長野、鹿児島まで開通している。
基本計画線は東京-大阪間のみリニアで計画されているが、他は夢で終わっている。
上図は山陽新幹線建設 倉元俊洋 鉄道ピクトリアルNo305 1975/4より
 中央リニア新幹線の建設構想は、このような東海道新幹線の輸送力の限界を最大の理由にして、その建設が構想されているが、さらに建設後年月を経た東海道新幹線の諸施設、特に鉄橋やコンクリート高架橋などの補修や取り換え工事のために、徐行や運休が不可避であり、その間輸送力の落ちる現在の東海道の動脈を細めないためにも、バイパス路線が必要だという事情もそこにからんでいる。
 そしてどうせ、東海道動脈の補強ともバイパスともなる鉄道をつくるのなら、高速度運転が可能なリニアモーターカーを使った中央り二ア路線を建設することがいっそのこと良いのではないか、そうしてそうすることによって、東京-大阪間は現在の1/2あるいは1/3の短時間で結ばれることになり、首都圏機能の名古屋、大阪方面への分散にも役立つというものである。

○ リニア構想に求められる冷静な判断

 しかし、篠原武司は、リニア構想については次のような疑問を呈する。
 まず第一に、リニアが安全な技術かどうかということである。
 リニアはまだ完成された技術ではなく、特に強い磁気が人体に短期的あるいは長期的にどのような影響を与えるのか未知の部分が大きい。それは磁気遮蔽の技術の進歩が今後斯待できるとしてもかなり障害となりそうである。
 また、速度が大きく出せることは望ましいことではあるが、超高速の物体が空気中、それも地表付近の濃い大気中を移動するとき生じる周辺への影響や、移動する車に乗る乗客への影響についても未知のところがある。
 マイナスの影響を避けるため、リニア路線のすべてを地下化しないとならないことになる可能性もある。
 篠原武司は語る。
 ――リニアモークーカーの研究は自分が鉄道研究所所長だったとき(昭32年)、所員に研究をやりたいという者がいて始めたものだが、トンネルに出入りするときの風圧の問題をまったく考えていない。
 トンネルを出入りするときの衝撃をどうするつもりなのか。
 まさか全線地下化するわけにもいかないだろうし、まったく解せない。
 そもそも地上を超高速で走ればすごい風が起こる。リニアでは時速500キロを目指すとしているが、時速500キロは秒速に直せば秒速129メートルということだ。今年の最大級台風だって、最大風速は秒速50メートルなんだ。
 トンネルの多い日本では地上を走る輸送機関としては時速250キロから300キロを限度とすべきだ。それ以上の高速度が欲しければ飛行機を使えばいい。鉄道輸送の限度をわきまえるべきだ――
――フランスでは確かに時速500キロを出したケースもあるが、あれは下り勾配でトンネルのないところで出したもので、あくまで宣伝用、常時そのスピードで運行しているわけではない――
――自分はそのことを機会があるごとに、方々で言っている。なのに後輩たちが自分の申し送りを聞こうとしないのだ――
――僕のことを鉄道万能屋のようにいう人もいるが、それは違う。
 自分は、全国新幹線網を構想したとき、北海道については函館から南回りで札幌に出るのではなく北回りにしたほうがいいと思った。
 それはその方が距離が短くて済むし、火山も避けられる。また将来、札幌から先に路線を仲ばすときは、南回りだと札幌で列車進行の向きを変えなければならないといった理由もある。
 そして北回りにして距離が短くなった分だけ、札幌から千歳空港へ路線を延ばす経費にあてられると考えた。
 僕は航空機と鉄道、鉄道と船、鉄道と自動車とは結びつけるものと最初から思っている。
 四国鉄道管理局長だったころ(昭和25年)、松山から大阪へ列車ごと連絡船に乗せて時間を短くした急行列車を考えたのもそうした考えからだ。
 鉄道だけでいい交通システムが出来ると考えるのは間違いだ。けれど、後輩たちはそのことがわかっていない――
――山梨県を通る中央新幹線は必要だ。
 中央新幹線をはやく作って開業し、東海道新幹線をしばらく休ませ、補修工事をやる必要がある。
 そしてそのあとは中央新幹線に「のぞみ」、東海道新幹線に「こだま」を運行するようにするといい。
 それと中央新幹線を作ったら、富士五湖近くに国会を移転すれば東京一局集中も緩和できる。
 アメリカでも経済の中心ニューヨークと政治の中心ワシントンは別だ。日本もぜひそうすべきだ――
 また、リニアシステムは高速性に富み、騒音・振動も少ない優れたシステムではあるが現行の新幹線システムと比べ、乗客一人当たり約3倍の電力を消費することも将来の地球の資源消費や環境保全上問題になるかもしれない(乗客一人当たりの消費電力量は現在の新幹線の40倍とする人もいる)。
 さらに、運行の安全性についても技術的に未知な部分が大きい。
 新幹線は長年の車両・線路・動力・指令情報等の分野での技術の集積の上に立って作られた自動列車制御装置(ATC)がミスを絶対的に防ぐシステムとなっており、それをベテランの運転士の人間的な判断が補強している。
 それが開業以来25年間乗客の死傷事故をゼロにしている原動力ともなっている。
 リニアにはその蓄積がないし、システム的にもすべて中央で運転コントロールをしなければならないシステムであり、運転士を必要とせず、そのため、運転してみて異常が発見されるということが期待できない。
 すべて機械まかせである。また、非常ブレーキがどの程度きくかも未知である。
 また次のような点も大きな問題である。
 つまり中央リニア構想は、東京-名古屋-大阪の3巨大都市を単線的に結ぶことしか考えていず、リニア路線が在来線や現在の新幹線といっしょになって、日本の交通の骨格をつくっていくというビジョンに欠けている。
 つまり、作ってもっとも利益のありそうな、東京-名古屋-大阪に、航空輸送にも勝るとも劣らない閉鎖的な、それだけの地上型輸送型システムをつくる計画にとどまっているということである。
 氏がこれまで主張してきたのは、新幹線網を骨格とした全国的な鉄道の便利な利用形態の実現、それも地方から東京に出るのが便利なだけではなく、むしろ地方と地方とが結びつくのに便利な交通システムの確立と、大都市圈の居住性を高める放射・環状の新幹線網の建設である。
 この考え方は東京への過度の集中にブレーキをかけ、かつ東京圈の居住性も高めるものである。
 それに対し、中央リニア構想は、東京-名古屋-大阪間だけで可能なプランであり、そこから先へは中々広げることのできない計画であるように思われる。
 とすると、中央リニアは東京・名古屋・大阪だけの利便性のみをますます高め、巨大都市への集中を加速する方向に作用するだろう。
 篠原武司は語る。
――新幹線を在来線の活性化に十分結びつけられなかったことが今でも悔やまれる。
 その結果、多くの在来線が過去の遺物のようになってしまった。
 その轍を中央リニア新幹線構想が踏まねばよいと思う。残念ながらその恐れはなくはないようだ。
 例えば中央リニアが出来ると、現在の東海道新幹線の乗客は半分に減るだろう。
 いや実際には大部分の客はリニアに移行するのではないだろうか。
 その結果、現在の東海道新幹線も在来線と同じく、遺物になってしまうおそれがある。
 東海道新幹線は山陽新幹線と直通しているし、東北・上越新幹線とも結びつき、日本の鉄道輸送の骨格となるにふさわしい。リニアでは延長や結びつきがどの程度はかれるのだろうか。――
 つまりリニアでは2地点間を結ぶ交通システムにとどまってしまうおそれが大きいわけである。
 それよりも、現在の東海道新幹線の輸送力が限界なら、もう1本、新幹線を作っていくほうが全国的な循環型交通ネットワーク網の整備や通勤者向けニーズに応えていく上ではより望ましい選択になる。
 篠原武司は続ける。
――東海道新幹線はスクラップにしてしまうのはいかにも惜しい。
 昭和32年のころ新幹線を構想したのは当時、既に自動車輸送や航空輸送に対抗できなくなりつつあった在来線型の鉄道輸送に代わるものとして、鉄道の持っている長所を時代の要請の中で再生させようとして提案したものだった。
 現在の新幹線システムは改善の余地があるにせよ、航空輸送、自動車輸送と比べ、有用性が高い交通システムとして認められ、現に多くの乗客を運んでいる――
――もちろん、東海道新幹線は大幅な手直しが必要だ。中でも複々線化が一番待望される。
 現在は同じレールの上を、のぞみ、ひかり、こだまを混合させて走らせねばならないため、列車間の間を詰めることが難しいが、複々線化すれば、のぞみとひかり、こだまを別々な線を走らせほぼ数分おきにダイヤを組めることになる。
 そうすると大幅な輸送力アップが可能になる。
 複々線化工事は、現在の新幹線の老朽部分の取り換え工事と併行して進めることもできる――
――そのほかにも現在の新幹線でもやるべきことがいっぱいある。
 新幹線と在来線の結びつきの強化、大都市周辺(東京・名古屋)等で、騒音・振動対策のために、大幅なスピードダウンを強いられている現状を構造的に解決していく取り組み、フランスなどに大きく遅れをとっているスピードの現行よりの大幅アップ、快適性の大幅な増進など、取り組むべき課題は多いのではないか――
――僕のこのような考え方に対し、リニア構想をかっての東海道新幹線建設構想といっしょのものとして考える考え方もあるが、それは違うと思う。
 当時の東海道線はどうやっても航空機輸送や自動車輸送に対抗できなかった。
 いまの新幹線はそうではない。十分な対抗パワーをもったシステムだ――
――また、東海道新幹線は技術的に必ず出来ると確信を持って提案もしている。
 確かにリニアの実現は夢ではあるし、いずれは、実現をはかっていくべきものであろう。
 しかし今は、新幹線それ自体のスピードアップ、グレードアップをこそはかっていくほうが必要と思うんだが、君はどう思うかね――
 筆者は氏にお会いしてお話をきく前は、篠原武司氏はその経歴からみても、大規模プロジェクトなら何でも推進の旗を振る人かと思っていた。しかし違った。
 氏はむやみと大規模プロジェクトを推進すべしとはまったく思っていない。
 氏が推進しようとしてきたプロジェクトは、すべてそこに一本、全国新幹線網こそが、国土の基本的な交通インフラストラクチャーであるべきであるという信念の筋が通っていた。

2015年1月16日金曜日

「リニア新幹線」批判封殺の背後にJR東海タブーと原発利権 NHKにも圧力?(エキサイトニュース2015年1月15日より)

「リニア新幹線」批判封殺の背後にJR東海タブーと原発利権  NHKにも圧力?

2015年1月15日 08時00分 (2015年1月16日 13時56分 更新)



 昨年末、ついに工事が開始されたリニア新幹線計画。最高時速500km、2027年までに東京~名古屋間を結んで先行開業の後、2045年には大阪まで延長する予定だ。その総工費は9兆円以上。まさに国内今世紀最大級の計画である。だが最近、リニア周辺の"きな臭さ"が次々と表沙汰になってきている。

 今月8日、「週刊プレイボーイ」(集英社)のウェブニュースサイトに、「リニア報道に圧力が? メディアは不都合な真実をなぜ伝えられないのか!」と題された記事が掲載された。執筆者はリニアへの取材を続けるジャーナリスト・樫田秀樹氏。その内容は、リニア計画に対する異論を封殺する動きがあることを指摘したものだ。

 昨年12月8日に放送された『クローズアップ現代』(NHK総合)は、建設工事によって大量に発生する"建設残土"がテーマだった。大規模土砂災害を誘発するなどの危険性が問題となっている建設残土だが、リニア計画でも膨大な量が生み出されることが分かっている。樫田氏によると、市民団体「リニア新幹線を考える東京・神奈川連絡会」の代表が、NHK番組スタッフから事前に延べ10時間近くも取材されていた。しかし、オンエア前日に突如「生の声を放映できなくなりました」との電話がはいったのだという。実際、放送ではリニア関連の話題は異様に短かった。

 樫田氏自身、昨年9月に『"悪夢の超特急"リニア中央新幹線』(旬報社)を上梓し、リニア計画の問題点を炙り出しているのだが、この書籍の出版に際しても一悶着あったことを明かしている。本書はもともと、14年春に別の出版元から刊行される予定だった。だが、翌週には書店に並ぶといったタイミングで、「出版社の上部組織である某大学から『待った』がかかった」。大学側の言い分は「本校において、研究者や卒業生で鉄道関連の事業に携わる者もいる。(リニアを批判する)この本の内容が大学の意図と思われるのは困る」というもの。すでに3000部を印刷し終えていたにもかかわらず、異例の断裁処分になったのである。

 もっとも、リニア計画については、以前から言論封殺に近いケースが散見されていた。本サイトでも近藤正高氏による記事のなかで紹介したが、94年、JR東海のPR誌でリニア批判がカットされていたことが分かっている。「新幹線の父」といわれた島秀雄・元国鉄技師長が同誌のインタビューで「四百キロとか五百キロとかいった高速を狙うことは振動とか安全面からみて問題だから慎むべきだ」という趣旨の発言をしたのだが、JR東海側はチェック用のゲラなどを一切送らぬまま、島氏の意を無視して勝手にこの部分を削除したのだという。
どうやら、リニア計画はなにがなんでも遂行されねばならないらしい。今回の樫田氏の「週プレ」記事は、その既定路線のために"リニア批判封じ"がより露骨になってきていることを示しているわけだが、地元住民の声を含め、大手マスメディアはこの問題をほとんど報じない。やはり、ここにはマスコミが抱える"JRタブー"が関係していると見るのが妥当だろう。

 そもそも、日本最大の公共交通機関であるJRはマスコミの広告元として強大な地位を占めている。加えて、新聞・週刊誌はJRの販売店「キヨスク」での取り扱いの比重が大きい。つまり販売ルートをガッチリと押さえられているわけだ。実際過去には、JR東日本と新左翼過激派・革マル派との関係を追及した「週刊文春」(文藝春秋)や「週刊現代」(講談社)などがキヨスクでの販売や電車の中吊り広告出向を拒否されている。

 だが、JR東日本のケースは、革マル派が国家権力から危険視されているがゆえに当局の協力が期待できるぶん、まだましだと言えよう。JRのなかでもっともメディアに対する姿勢が高圧的なのは、くだんのリニア新幹線を管轄するJR東海である。

 JR東海が形成するタブーは広告などのスポンサーや販売関連だけはない。同社を独裁的に経営してきた葛西敬之・代表取締役名誉会長は、財界集団「四季の会」とその流れを汲む「さくら会」を主催する保守論客でもある。そのため、自民党タカ派と極めて近しい関係を持っており、第一次安倍政権下の06年には国家公安委員や教育再生会議委員を務めるなど、安倍首相のブレーンとして知られている。

 葛西氏が名古屋財界のトップに君臨できたのは、リニア計画をおしすすめた結果だとも言われている。そう考えると、NHKの会長人事は事実上官邸が握っているのだから、『クローズアップ現代』の内容にかんして、葛西氏の意図を汲んだ安倍政権がNHK上層部に圧力をかけていてもなんら不思議ではない。

 いや、というより、すでにリニア計画は一企業の枠を超えて"国策"の様相を呈し始めている。

 現在、JR東海は総工費の9兆円を自社で負担するとしているが、JR東海会長・山田佳臣氏が社長時代の13年に「(リニアは)絶対にペイしない」と発言するなど、内部からも計画に疑問が出ている。さらにJR東海は昨年8月、品川~名古屋間の事業費を従来より約900億円多い約5兆5千億円に見直した。これに関して国土交通省関係者は「建設費が見込み通りで済むかはわからない」と語っている(『朝日新聞』14年10月18日朝刊)。
一方で、葛西名誉会長と安倍首相はリニアを海外に売り込むと言ってはばからない。

 そうなると、資金面の不安を解消するための"官民一体化"というシナリオがもっとも現実的だろう。事実、昨年4月、自民党の「超電導リニア鉄道に関する特別委員会」は、名古屋~大阪間の工事費3兆6千億円を国が負担すると同時に線路や駅を造ってJR東海に譲渡する案を決議している。つまり、リニア計画に対する反対意見などが十分に広められないまま、国民の血税が投入されようとしたのである。

 前出の樫田氏は「週プレ」の記事をこう締めくくっている。

「スポンサーがらみの検証報道がなされないのは、リニアに限った話ではない。だが史上最大規模の環境問題(残土問題や水枯れなど)が起きうるかもしれない巨大事業に沈黙し、監視者としての責任を放棄していいはずはない。同じように、その危険性が指摘されながら国民的検証がないままに推進され、大事故を起こしたのが原発ではないか──」

 ピンときた読者もいるだろう。そう、リニア計画の"国策化" は、原発再稼働とも関係しているかもしれないのだ。現在、JR東海はリニアの消費電力の詳細を公開していないが、新幹線の3倍(一説には4~5倍以上)もの膨大な電力が必要だとされている。その電力をどう供給するのか──樫田氏は「世界」(岩波書店)15年2月号でのジャーナリスト・斎藤貴男氏との対談のなかで、このように語っている。

「リニアが原発からの電力を使うかどうかは、公式的にはJR東海は何とも言っていません。ただ、JR東海の実質的な最高経営者である葛西氏は繰り返し原発再稼働を求めていますし、実際、リニア実験線で使われる電力は、主に柏崎刈羽原発からの日本初の超高圧送電線によって送られてきました。リニアと原発はセットとの可能性は否定できない」

 3.11直後、原発推進の旗ふり役である読売、産經新聞すら声を大にして"原発擁護"を喧伝できないなか、月刊誌「Wedge」は、11年6月20日発売の7月号で「それでも原発 動かすしかない」という特集を大々的にくんだ。この雑誌の発行元・ウェッジはJR東海グループの出版社である。葛西名誉会長自身、新聞紙上などでさかんに原発再稼働の必要性を論じているのも有名な話だ。

 仮説である。もし、安倍首相の敷く原発政策に、既得権益を持つオトモダチへの"義理"があるのならば。もし、これを世間から隠すために、リニア批判に対する圧力を強めているのだとすれば......。

 もはや安倍政権は、国民の声を聞く気などさらさらない。そういうことになる。

 リニア計画、JR東海、葛西敬之安倍晋三の蜜月。今後、新たな情報が入り次第、続報を出すことにしよう。
梶田陽介

2015年1月13日火曜日

可児市はJRとの間でリニア工事の開始前に、大森交差点周辺の交通規制協定を締結すべきである

可児市はJRとの間で、大森交差点周辺の交通規制協定を早急に結ぶべきである           リニアを考える可児の会

リニア問題で、ルートが通過するという、大森交差点の交通量調査が、桂ヶ丘自治会、桜ヶ丘ハイツまちづくり協議会(協力;桜ヶ丘ハイツ自治連、桜ヶ丘地区公安協、帝京大学可児高校中学校、伊藤さん(可児市議)など)で、2014年5月15日に行われ、その調査結果が、秋祭りの桜ヶ丘公民館に張り出されました。
 主な特徴は、大型トラックが大幅に増えて、特に南北道路、東西道路とも渋滞を引き起している。東西道路は通勤通学時間には小、中学生、高校生が多く、危険である。
 JRは、今後10年以上にわたり、この交差点及び公道をリニアトンネル残土の運搬に使う(1日8時間として1分間に1台)と言っているが、可児市はJRとの間で、この交差点および南北道路、東西道路の交通対策について、協定をむすび市民の交通安全を確保すべき責任がある。


上が同日午前中の交通量調査、下が午後のもの


リニア新幹線沿線住民ネットワークは国交省鉄道局施設課に異議申立書5048通提出
(春日井リニアを問う会 事務局連絡2014年12月30日発行より)

 鉄道局職員は、提出に立ち会った沿線住民や記者の質問に対し「申立人は沿線住民の限定される。沿線がどの地域か、沿線住民かどうかを判断するのはJR東海である」との見解を示しましたが、川村晃生共同代表からは、「JRは リニアは国家的プロジェクト」と説明しており、リニアはすべての国民が利用する公共機関であり、リニア建設の伴う不利益を被る「日本国民全体が申立人の資格を有する」と述べました。

リニア新幹線は沿線住民だけの問題ではない

① リニア新幹線は現行新幹線の3倍以上の電力を浪費しま
 す。次世代に負の遺産を背負わせることになり、原発再稼
 働の口実になります。
② リニア新幹線から出る電磁波の影響を受けます。小児白
 血病、心臓ペースメーカー、植え込み型除細動器、医療機
 器への影響は払拭されていません。
③ リニア新幹線は東京から名古屋まで多くの活断層を横切
 ります。そこで強い地震が起きたら重大事故にあう危険性
 が高く、建設に伴う残土による自然破壊・地下水の水脈破
 壊による水資源の枯渇、残土運搬車両からの騒音・振動に
 よる生活環境への影響が10数年続きます。
④ JR東海は3兆円の負債を抱えたうえに、10兆円以上の
 建設費をつぎこみ、前社長(山田)も「赤字は避けられな
 い」と言明しており、国民の税金がつぎ込まれることに
 なります。(リニア開通後、東海道新幹線の「のぞみ」は
 廃止され現行新幹線からの収益は見込めなくなります。

2015年1月10日土曜日

リニア  桜ヶ丘公民館説明会の反訳(5)

リニア桜ヶ丘公民館説明会の反訳(5)

質問

 桜ヶ丘の◯◯です。今の質問とも関連しますが、まずは、我々の影響を受ける工事というのは、この地区だと、いつごろから始ってどのくらいの期間を想定していらっしゃるのかお伺いしたい。それから始った場合に、たとえば、10トントラックで、一日何台ぐらい動くのか、お答え頂きたいと思います。
 2点目は、完成してリニアが走り出したときに、いわゆる沿線に住む住民の健康には、まったく影響がない、影響はゼロだというふうにJRは、お考えになっていらっしゃるのかどうかを確認さしていただきたいと思います。

回答

 本日お配りさしていただいた資料の中に、こういう紙があったと思いますけれども、そちらのほうに用地取得までのスケジュールというのがあるんですが、この中に、非常口、変電施設というのがあると思います。
 大森新田の非常口からトンネルを掘るということですが、これは岐阜県全体ですが、これによりますと、用地取得のほうが書いてありますが、実際にはもう少し先でございます。但し、まだ用地の取得ができておりませんので、何年何月からやるということは、申し上げにくいんですが、本年の秋以降用地取得の打ち合わせをさせていただきます。
 まずは工事に必要な用地を売っていただいて、我々工事する準備をさせていただいて、トンネルを掘った土をどこへ持って行くのかと、これを決めないとことには掘ることができませんので、土地をお譲り頂く、それから掘った土の活用先、持って行く先を決める。この二つが決まってから工事に入るということですので、簡単に言いますと、今年とか来年とか、そういった早い段階で工事ができるとは考えておりません。
 こちら10メートル、トンネルと地面との間が10メートル、土被りと言っておりますが、10メートルの場合振動値といたしまして、46デシベルと、この46デシベルがどれくらいなのかというのが、こちらの図になりますし、お手元の10ページにも書かせていただきましたものですが、まあ、われわれ普通の人間、人によって個人差もちろんありますけれども、大体50デシベルを下回るとほとんど振動を感じないと、センサーを付ければ別ですけれども、そういうレベルで、ご当地はもっとも近いところで、70メートルぐらい、今の皐が丘の9丁目から70メートルぐらい離れたところの、更にその下85メートルということでもあり、これは距離で言ったら、これの10倍以上離れていることになります。まあ直線距離で言えば、そういたしますと、当然、振動はもっともっと小さい値になりますので、まったく感じないということは、みなさまの人体には、まったく影響がないと、まあそういうことで、影響はございませんといういうことをお話させていただいております。
 それから騒音値については、やはりそれだけの厚い土を通して音が伝わるということはまず考えにくいですから、騒音についても、影響がまったくないというふうにお話させていただいております。
 それからこちらも実際に山梨の実験線ということで、実験した値でございまして、時速500キロで、約40メートル弱のところで、0・00015ミリテスラというかなり小さくなっております。これも距離が長くなればなるですね、距離の3乗に比例して小さくなるということですので、ご当地ですとですね、これはまさに3倍ぐらいは土が間に入っているということで、こちらについても、まったく異常はないと、こういうことからも、みなさまへの影響というのは、ご心配は無用であると考えております。

質問

 工事のスタート時期は、まだ分からないということでしたが、実際に始ってから、この地区のほうの工事は大体終るのに、例えば2年ぐらい、3年ぐらいで終るのか、この辺は大体予測できるんですか。

回答

 終わりの時期ですね、すいません、はっきりとした何年ということはちょっと申し上げにくいです。といいますのもわれわれの計画は、こういうふうにやりたいという計画はありますけれども、例えば、さきほどのダンプの台数とかこういった工事計画というのは、作ってから初めて全体の工程というものが出来上がってきますので、そこで、いろんな思うどおり自由にできるとは限らないわけです。いろんな条件、地域に合った皆様へのなるべく影響を小さくするためには、いろんな条件が出て来ると思いますので、そういったものを詰めて行く中で、初めて工期といったものが決まってくるものですから、2年でできますとか3年半で終りますとかいうのは申し上げにくいですが、とはいうものの2~3年で終るということではございません。もう少し長い時間は掛かるだろうと思っております。ですから、2年とか3年で工事は終るということではなくて、もう少し、もう少しではなくて、それ以上に掛かると思っております。ちなみに私ども全体の計画といたしましては、2017年、平成いきますと、39年に開業したいと思っておりますが、当然、ぎりぎりまで、工事をやっているわけではございません。その前には、いろんな試運転とか機械が正常に働くかという試験、それから新幹線ですから国のほうの検査を受けたりしなければいけません。こういったものがやはり数年は掛かります。今はトンネルの話しですが、トンネルが終った後には、いろんな電気の設備、トンネルの中にはいろんな電気の設備を設置したり、そういうやつも工事期間の中には、当然入ってまいりますので、そういったもろもろの工事をやって、それからいろんな機械が正常に作動するのかという試験をやって、それから国の検査を受けて、それから試運転をしてということで、まあ最後のほうはですね、工事というよりも事前の確認の期間が1~2年はあるだろうなというふうに考えております。ざっくりとしたお話といたしましては、従いますと、それから数年引いていただいた期間が工事期間だというふうにご理解いただければと思います。

質問

 瑞浪から可児市にかけて非常に強い放射性物質を含むウラン鉱床があるということを聞いておるんですが、先ほど瑞浪のウラン鉱床を避けてこのルートになったということを言いましたが、実際掘ってみないとウランが出てしまうかどうか分からないという状況のようなので、掘って出てしまったから対処を考えていたら、まず、その土を、どこに、どういうふうに処理するかということを出てから考えていると、当然ラドンガスとかが出て、肺がんになるリスクがあったりしますし、日本でもウランというのは、この地域に多いみたいなんですが、実際鳥取にほうで出たときもアメリカに買ってもらったりですとか、あるいは、レンガとしてどこかで使ったりとかすごく処理が困難だということを聞いたことがあるんですけれども、工事前に、そのウランが出てしまったときにどこにそれを処理するかというそういう具体的なことまで出していただいて住民の方にご説明くださるかどうかということと、もうひとつですね、電磁波、さきほど影響がないというふうにおっしゃってみえるんですが、0・4ミリガウスで小児白血病が増える確率が何倍と増えるということを聞いたことがあるんですが、実際その超伝導リニアというのは非常に強い電磁波を発生する乗り物で、何百、何千ミリガウスという値が、まあはっきりとは出ていないものの、そんな値だと思うんですが、先ほど0・000何ミリガウスだから心配ないっておっしゃっているんですが、実際は、莫大な工事費がかかるとか、電磁波の影響でドイツや中国が結局実用化してないという現実がありますので、その辺りはどうしても納得出来ないんですね。人体にまったく影響がないというのが、やはり、これからの子供たちにも影響しますし、どうしても、そのこの値でどのくらいという国際基準できちっと示して、まったく人が乗っても大丈夫、沿線住民も大丈夫というふうに、私たちのためにも子供たちのためにも、示していただかないことには、結局は、その何か発生したとか、どうこうなったときに、国が責任取るというふうなんですが、国の責任というのは、私たちの税金です。税金を使うことになるわけですから、被害を受けて、私たちの税金から被害を直すという形を取るとなると、かなり納得のいかない話ですので、ちゃんと一つ一つ、これは健康に害はないとか、土は、工事が始るまで、どこに、どういう形で人に影響がないように保管するとか、そういうことをきちっと出していただきたいと思っています。この点に関してはどうでしょうか。



訳者コメント

この回答については、東濃地方のウラン鉱床の専門的な説明が延々と続き、さらに元動燃がウランウラン鉱床を見つけようとボーリング調査をした調査結果を、動燃から聞いたという資料のみに基づいて、大きなウラン鉱床を避けたといっているのであって、JR自体が調査をして責任もって存在を確認したものではない。しかもヒアリング調査の結果から、特にそのウラン鉱床をルートから避けたというものではなく、たまたま直線上にその塊がなかったというにすぎない。しかも、動燃は、土岐市内については、ボーリング調査をしたが、その結果は発表していない。可児市内のルートであるから、JRは責任を持って、ウランが存在しないことを証明し、そのことを工事の条件とする協定を可児市と締結すべきである。この協定は、ウランに限らず、電磁波による人体への影響、振動や騒音による影響、環境保全など、リニア計画全体について、詳しく協定書を作成すべきである。美濃帯という地質から過去に東海環状線のトンネル残土の埋め立て地から重金属物質が浸透し、ため池の魚が死んで、可児市はその対策に数億円の税金を使ったことは周知の事実であり、JRもその事実は認めている。美濃帯には、放射性物質がないから安全だと勝手に決めつけるJRは、住民が過去の事実を踏まえて不安を覚えているのだということを無視しているのである。さらに名古屋の新幹線沿線住民が新幹線公害によって重大な侵害を受け、長期にわたり住民運動を展開した結果、速度制限、防音壁、精神的、身体的障害の発症に多額の賠償を余儀なくさせたことも理解しようとしないのである。

2015年1月7日水曜日

リニア桜ヶ丘説明会反訳(4)

リニア桜ヶ丘説明会反訳(4)

質問
 
 桜ヶ丘の◯◯と申します。用地の取得についてお訊ねします。
 公共用地取得は、私法上の契約だという考え方は、長年に亘り学界でも定着しています。用地の取得は、本来、JRさんと地権者との間で決める問題です。しかるにJRさんは、リニアの用地取得について、その業務の一部を地方自治体に委託するようです。それで、お訊ねします。
第一点  この業務委託は事実行為の委託ですか、あるいは、法律行為の委託ですか、お願いいたします。
第二点  全幹法13条4項は、この規制は、努力規定なんですか義務規定なんですか、お訊ねします。
第三点  可児市長さん、および可児市議会は、先にJRさんに対して、大萱地区の地下化の趣意書を出しています。議会が地下化の決議を取り消さない限り、この決議は市長さん及び職員の方を拘束すると思います。議会の決議は、可児市住民の意思の集約です。最大限に尊重すべきです。
JRさんの業務委託が可児市の議会決議の排除なのですか。それほど拘束力が強いとは思いませんが、お訊ねいたします。以上三点について、ご回答をお願い致します。

回答

 それではただいまのご質問につきましてご回答いたします。
 まず、用地取得について、市に対して委託をしているのかということについての内容は、まだ、現在委託の協定締結には至っておりませんけれどもわれわれとしては、さきほど言われました全幹法の第13条4項に基づいてですね、用地の委託業務というのを自治体さんのほうにお願いしたいというふうに思っています。ですので、実際の地権者への補償説明とか、そういった実施作業というんですかね、というのは、自治体のほうを中心に行っていただきたいというふうに考えております。
 先ほど、質問者の方から、事実行為なのか法律行為なのかという 努力なのか義務なのか 
そこの点については この場で私できません、そういう能力を私持っておりませんが、こういう用地の事務委託をしたいということで岐阜県さんが当方と協定を結ぶべく討議をさせていただいているということは事実でございます。こちらについては、地元のことは地元の自治体さんが一番よくご存知だということ、それから当社そういった能力が十分にないということから自治体のほうに用地取得の事務委託というものをしたいといことで、現在協議のほうを進めさしていただいているということに尽きます。
 それから先ほど大萱の関係というのは、ちょっとご質問の趣旨が分かりかねたんですが、三つ目の質問ですね、これは用地取得と何か関係があるんでしょうか、逆にちょっと教えていただきたいんですが。
 ◯◯さんが質問者の代弁
 あのね、私がちょっと代弁しますが、可児市議会が決議したわけです。地下化が無視されたまま進められておるということで、可児市議会の解除がないのに市は進められるわけがないということです。

回答の続き

 あの弊社はですね、全幹法に則って、まあ、進めているという話しをさせていただいていまして、それで、建設の指示を受けて環境影響評価を行っていると、あの、可児市の議会でそのような意見が出て来たのは、25年の冬頃だと思います。その可児市の意見をふまえて、最終的に県知事意見でまとめております。で、県知事意見をふまえて最終的に環境影響評価をまとめたのが評価書、4月23日ですね、それをまた、国の国交大臣にもそれを認めていただいたのが、8月26日、それをふまえて、10月の17日に工事許可の申請許可を受けたということでございますから、市議会の意見、それをふまえた県知事意見をふまえ、国も認めたというところですので、今般のこの事業については、そういう、あの、地元の意見を無視しているということではなくてですね、そういう意見もふまえて最終的に工事認可を受けたというふうにこちらのほうは考えております。

補足をさせていただきますと、そういうご意見をいただきました。で、私どものほうでもいろいろ検討いたしまして、直接的に史跡に該当するところはですね、当たらないようにルートのほうも選定いたしましたし、今後、橋脚とかそういう掘ったりする、そういう工事のないように計画をしていくと、ただ、あの一帯の全体を避けるということは、先ほど別の方の回答でもさせていただきましたけれどもルートというものは、いろんな要素が複雑にからみあってあのルートになっておりますので、あそこそのものは通さしていただきますけれども、直接的な遺跡ですとかそういったものを避ける形でルートのほうも引かせていただいております。そういったご意見もふまえつつも最終的には、あのルートを決めさせていただいた、まあ、その手続きについては、今、鈴木がご説明をしたとおりでございます。あの、けっして無視してやっているということではございません。

質問

 難しい質問ではございませんけれども、大森新田の交差点の南側から残土を出すということですよね、そのときに、トラック、ダンプカーですよね、当然出ます。その場合一般の市道とか、県道とかそういうところを活用されるのかということと、もうひとつ、私が、もう15~16年前ですかね、山口県の小野田のほうへ行った時に、小野田セメントが専用道路を作ってるんですわ、一般道路では、ダンプがもう石灰を運ぶ時にものすごく、落としたりなんかするということでね、そういう代替の専用道路を作られる予定はあるかと、それもちょっとお願いしたいんです。特に、大森新田のあの辺は、今、一番交通量が可児市の中でも多いところで、今、問題になっている交差点でございます。そういうことで、代替の専用道路を、久々利か、あの辺からもつなげて、どこへ出るかというのをちょっとお考え願いたいと思っております。

回答

 「あらまし」をみていただくと、こういった形でルートがございました。大森新田はここでございます。この県道の大森新田交差点から特に朝晩の通勤、通学の時間帯で、非常に激しい渋滞が起きている。これは、この地区でも同じようなお話を伺っております。したがいまして、そういった状況をふまえて今後どうするかということですが、基本的には、現在ある県道、市道、国道、こちらを通さしていただきたいという風に考えております。したがいまして小野田セメントのことは私承知しておりませんけれど専用道路をつくるという計画はしておりません。

基本、公道を使わせていただきたいと考えております。しかしながら、そういったかなりの台数が出てまいりますので、そこを使わせていただく以上は、みなさまに、まったく迷惑がかからないということにはなりませんけれども、なるべく小さくなるように計画を、今後していきたいと思っております。まあ、たとえばということでございますけれども、まだ、発生土を持って行くところが決まっておりませんので、どこを通るというはっきりしたことは、この場では、申し上げられませんけれども、新田の交差点の2~300メートル南のほうに発生土を出す場所ができるわけですけれども、たとえば、新田の交差点は極力通らないようにするようなルートを考えですとか、たとえば特に朝のたとえば7時から9時が非常に渋滞が激しいというようなことで、私の方でも調べますし、地域のみなさまからもお話を伺った上で、その時間帯は避ける、ダンプによる発生土の搬出をストップさせるとかですね、そういったルートの問題、それから運び出す時間の問題、こういったもので、ある程度程度工夫できるだろう、かなりのものは工夫できる余地はあるだろうと思っております。そういったものを、こういった説明会で、お示しして工事のほうを進めさせて頂きたいと思っております。
とうことで、現時点で、そういった専用道路ですとか、こういったものを作る計画はないということでございます。


 

2015年1月2日金曜日

リニア 桜ヶ丘公民館での説明 反訳(3)

可児市桜ヶ丘公民館でのリニア事業説明会の質疑部分反訳(その3)      

質問
● 今日の議事録だとか、こういう「あらまし」などの資料とかを桜ヶ丘ハイツの全世帯に配るべきだと思いますが、そういった予定はありますか。例えば自治会に配って、回覧板でお知らせしますとかだと自治会に入られていない世帯もありますし、ホームページで公開しますだと高齢者の方だと見る機会はないと思われるので、すべての住民に直接には説明出来ないとしてもこのような資料を配ることはできると思うので、お願いします。
 もう一つは、先ほどの騒音と同じ話しになるんですが、国の基準より下回るから大丈夫だよという話しでしたが、例えば、下回ったとしても、工事期間10年あるというのを見たんですけど、下回ったとしてもたとえば何か影響があって、ストレスで障害が出たとか、そういう住民がおられた場合には、何か対策は考えられていますか。今のところないから大丈夫だというお考えだろうと思いますが、もしあったときにどうされるかということは考えられておりますか、質問します。

● それではただいまの御質問に回答いたします。

  まず議事録とかそういうのを公開するのかという質問ですが、みなさまからのご意見だとかご要望というのを今後の説明に参考にさせていただくためにこちらのほうでは必要な記録を取っているんですが、記事録の公開という形での公表は考えておりません。ただ、資料なんですけど、11月28日に可児市総合会館で実施しました事業説明会のスライドにつきましては、弊社のホームページに公開しておりますので、それを見ていただければどういうことを説明したかということがよく分かると思います。
  それから当社はこれまでも地元を始めとしたみなさまにですね、中央新幹線の計画についてより理解を深めていただくために必要な情報公開は行っております。また、このような説明会の場を持つほか環境保全事務所、工事事務所においても個別のご質問に丁寧にご説明をすることを考えております引き続き中央新幹線の計画についてご理解を深めていただくためにも私どもとして必要なことを考えていきますので、よろしくお願いします。
  それから、国の基準と比較しているのはどうかという話しなんですが、確かにここの桜ヶ丘ハイツのところにしましては、地下50メートル以上という深いところを通るので、例えば、 リニアの走行音とか、振動とか磁界というのは非常に小さい値ですので、そこからまず問題が発生するとは考えていません。また、工事中におきましても、実際に工事現場が、この近くですと大森の非常口になるんですが、桜ヶ丘ハイツとは結構離間が離れているんで、実際に問題が生じることはないと考えておりますが、万が一何か、その、体の調子が良くないとかですね、そういうような事柄が発生したとか、いうことがありましたら、弊社のほうにご連絡いただければと思います。

回答の補足

  この「あらまし」を配るかどうかという話しですが、それについては、配る予定はありません。
  今日50名ほどお越しいただいておりますけれども、御案内は広くご案内さしていただいた結果、今日この人数になったということですので、来ていない方すべてに配るということは考えておりませんが、こちらの内容も、先ほどインターネットじゃあ分からないぞという話しもありましたけれども、まあインターネットを中心に続けて公開させていただいとりますし、それでも分かりづらいということであれば、後ろの連絡先が書いてございます。土、日はやっておりません平日時間帯であれば、お答えをさせていただきますので、そちらのほうに問い合わせいただければと思っております。
  もし工事期間中、眠れないだとかの話しがありましたら言っていただければ、ルートを変えるとかですね、そういったことはできる範囲内でやりたいと思っております。基本的には我々工事サイドでそういう原因をできるだけ取り除くもしくは小さくするという対策を打っていきたいと考えております。
                         (4)続く