<コンパス> リニア新幹線着工の前に
2014/11/1 夕刊
リニア新幹線の着工が認可された。東京と名古屋・大阪間が短時間で往来できて便利。JR東海が資金を出すのだから、民間企業に口出しする必要はない-。そんな論調が今も主流だ。
これまで「夢の超特急」というイメージしかなかった。橋山禮治郎著『リニア新幹線 巨大プロジェクトの「真実」』(集英社新書)を読み、本当に必要なのかと考え始めた。
取材すると、予定地の住民らが「事前説明がない」とぼうぜんとしていた。JR側は「計画確定まで軽々に動けない」。だが確定の段階で反対して、覆るのか。
樫田秀樹著『“悪夢の超特急”リニア中央新幹線』(旬報社)では、推進派の元参院議員が「いまのような、推進派だけでワイワイとリニア建設に走るやり方はダメ」と話す。国家的大事業ならば「住民を交えての、必要性の是非や安全性についての徹底的議論をJR東海や国や自治体はやるべきだ。原発と同じ過ちを繰り返してはならない」と指摘する。
地下水の枯渇や建設残土問題などで沿線自治体からも懸念の声が上がる大プロジェクト。事が起きれば多大な税金が投入される事態も想定される。
多くの新聞や雑誌のリニア記事は科学の進歩を称賛していた。書籍の持つ意味は大きい。
(出田阿生)
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