2015年6月30日火曜日

リニア品川駅入札不調に終る

週刊ダイアモンド6月13日号の特集「五輪特需に沸くゼネコン業界に忍び寄る”宴の後”の正体」、「気がつけば、最高益の罠 ゼネコン」。その中からゼネコン業界が注目していたリニア品川駅工事入札が不調に終ったという記事があった。リニア品川駅は現在の新幹線品川駅の地下40メートルに幅60メートル、長さ900メートルに及ぶ広大なもので、応札のゼネコン各社の入札価格がJRの入札予定価格を上回ってしまったからだという。
「入札は不調だった。先方の予定価格に合わなかったということだ」(大手ゼネコン関係者)――。
 総工費5兆5235億円。東海旅客鉄道(JR東海)が威信をかけて取り組む超弩級プロジェクト、リニア中央新幹線計画。
 その第1弾、東京側のターミナル駅となるリニア品川駅の建設工事の入札がこのほど行われた。スーパーゼネコンを含む複数社が応札したもようだが、結果は関係者の言葉どおり、不調となった。JR東海の予定価格よりも、札を入れた全社の提示した価格が上回ったというわけだ。
 リニアといえば、本体着工は2015年度で、品川―名古屋間を結ぶ路線が完成するのは27年の予定だ。45年に大阪まで延伸すれば、合計9兆円という莫大な金額に膨れ上がる。
 スーパーゼネコンはもちろんのこと、土木工事に自信のある準大手に至るまで、色めき立ち、工事に飛び付くものと思われたが、さにあらず。
 JR東海は費用を全額自社で賄う方針を示しているが、折からの建設コストの上昇に予断を許さない今、いくら歴史的な大工事であっても、採算を無視した価格で応札する余裕はゼネコンにはない。
 というのも、ゼネコン各社は、ようやく業績回復の途上にあり、長年苦しんできた“不採算受注”のくびきから、脱却し始めたところだからだ。
 何より、リニアにかかわる土木工事は困難を極める。
 なぜなら、工事区間の86%がトンネル工事であり、その多くは、地下40メートルという大深度地下を掘り進めなければならないからだ。最難関は、最大土かぶりが1000メートル以上ある区間を含む、南アルプスを貫く全長250キロメートルに及ぶ長大なトンネル工事だ。
 もっとも、新たに建設するリニアの品川駅とて、簡単な工事ではない。JR東海が国に提出した環境影響評価書によれば、リニアの品川駅は、現在の東海道新幹線品川駅の地下にできることになっている。地表からの深さは約40メートルで、幅は最大で約60メートル、長さは約900メートルにも及ぶ広大なもの。

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