今日の新幹線の火災事故は、リニアの安全性を考える上できわめて示唆的なこと
と認識しています。
事実としてあるのは、
㈰当該の新幹線には約千人の乗客と、運転士1人、車掌3人が乗務していた。
㈪トンネル内で火災が起きた時は、その場では消火しないで、トンネル外に走行
して、乗客を避難させるというマニュアルがある。今回はトンネル内で火災が
発生したのか、野外を走行中なのかはわかりませんが・・・。
㈫1号車で火災発生後、乗客は4号車から後方の車両に避難したが、長時間車両
内にとどめ置かれた。野外にも拘わらず救助が遅れた。
㈬車両内が停電し、運転士ないし車掌からのアナウンスは無かった。1号車の乗
客は先頭よりのデッキで、男が体に油をまいて火をつけたことを目撃していた
こと。
㈭火災発生時、1号車、2号車の乗客はパニック状態に陥ったという乗客の証言
あり。
㈮火災発生後、1号車、2号車中心に煙が充満し、乗客がそのために死亡したり
重傷を負った。
-JR東海はどのようなコメントを出すのか
㈰「想定外」という事ならば、車両内の焼身自殺や刃物を振り回し乗客を殺傷す
るといった事態は、ここ数年の事件をトレースすれば十分想定できたと考え
られる。
㈪「セキュリティの再検討」
航空機と同じように、持ち物検査や身体チェックなどを行うのかも注目される。
リニアの場合を考えると安全性について暗澹とした気持ちなる。
㈰JR東海はリニアは一人も事故死を出していない東海道新幹線の安全技術を取り
入れているとして、リニアの技術的安全性を強調しているが、高速鉄道の気密
性があだとなる可能性を示した。
㈪時速250km新幹線でも停車まで3分かかる。リニアは同じ時間で止まれる
と言われるが、急停車することによる乗客の安全に影響は無いのか。
㈫今回は以上の知らせを受けた運転士の判断で走行を停止した。リニアには運転
士はいない。直ちに車両内などの異常事態を把握できないリニアの中央管制室
の人間が咄嗟の判断ができるとは考えられない。
㈬リニアの中間駅には(施設管理職員のみで)駅員もいない。予約したテロリス
トや犯罪者が簡単に乗車できる。こうした事態を防ぐためのセキュリティシス
テムがリニアには全くない。
㈭今日の事態を受けて鉄道専門家は、新幹線の車両内は座席やカーテンを含め不
燃性の材料を使っているので火災が広がるおそれが無いとコメントしていた。
石北線のトンネル事故では車両は丸焼けとなった。ある程度の高熱では耐えら
れるかもしれないが、それを超えたら延焼は防げないのでは。また、今回のよ
うに乗客が燃料や爆発物などを持ち込む場合はどうなのか、「それは乗客の良
心」に委ねることなのか。
今回の事故(事件)はリニアでも十分起きるし、殆んどがトンネル内で発生する
可能性が高い。また、かなりの部分が山岳部であることから、避難や救助に長時
間を要し、被害が拡大することが確実と思う。
いずれにせよ、石北線のトンネル火災、青函トンネル内で起きた煙充満事故、そ
して今回の事故(事件)を、事実関係を中心に子細に研究することが、リニアの
技術安全性、事故対策の不備を考える上で極めて重要と考えています。
天野捷一 <s-amano>
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