2027年に東京・品川―名古屋間で開業予定のJR東海リニア中央新幹線について、建設に反対する市民団体が16日、国土交通省に建設認可の取り消しを求める異議申立書を出した。国交省の対応を見て、認可取り消しを求める行政訴訟も検討するという。
 沿線7都県の住民らでつくる「リニア新幹線沿線住民ネットワーク」が、行政不服審査法に基づき、5048人分を提出した。東海道新幹線の3倍とされるリニアの消費電力を「国民が節電に努力しているのに浪費は許されない」と批判。南アルプスを貫く長大トンネルでは自然破壊が避けられず、工事で出た残土の処分やトンネル内の事故への不安は大きいと指摘した。
 記者会見した川村晃生(てるお)共同代表(68)は「ずさんな環境アセスメントのまま着工されては困る。国は環境被害が出る前に認可取り消しを」と訴えた。受理した国交省は「これから申請者の資格や内容を審査する」と話した。JR東海は、ターミナル駅の品川と名古屋で17日に着工する予定。