2017年12月12日火曜日

リニア工事、大手4社が分け合う 3〜4件ずつ受注(2017年12月12日中日新聞)

リニア工事、大手4社が分け合う 3~4件ずつ受注 

2017/12/12 朝刊
リニア中央新幹線の非常口新設工事現場=11日、名古屋市中区で
 大手ゼネコン大林組に東京地検特捜部の強制捜査が入ったリニア中央新幹線の入札妨害事件。リニアは、総工費九兆円を超える巨大プロジェクトで、これまでに二十二件の契約が締結されている。大林組を含む大手ゼネコン四社の共同企業体(JV)が、それぞれ三~四件ずつ受注。工事を分け合う構図となっている。
 受注調整などの不正があった可能性があるとみられている「名城非常口」(名古屋市中区)は、愛知県内で最初に契約が成立した工事。東京地検特捜部に偽計業務妨害容疑で捜索を受けた「大林組」が受注した。現時点で、同社はゼネコン四社で唯一、品川と名古屋の両方の駅部工事も担当する。
 特捜部が担当者を任意で聴取している鹿島は、三件を受注。内訳はトンネル工事が二件、非常口工事が一件だった。大成建設はすべてトンネル工事で四件。清水建設は、品川駅と非常口、トンネル二件の計四件だった。
 JR東海は、リニア中央新幹線工事の入札で、「指名競争見積方式」と「公募競争見積方式」を採用。指名方式は、難工事で高い技術や経験が必要とされる駅部の工事で採用されており、あらかじめJR東海が数社を選定した上で、施工方法や価格を総合評価する。
 一方、公募方式は、施工方法や価格などを総合的に評価した上で順位を決め、上位の業者がJR東海と協議をして契約を決める。「名城非常口」はこの方式だった。
 リニア中央新幹線の東京・品川-名古屋間の総延長の九割近くがトンネルで、既存の東海道新幹線の駅直下に新駅を造るなど難工事も多い。建設業界関係者は「夢の大規模プロジェクト。どの社も取りたい工事だ」と話す。

◆大林組名古屋支店を捜索

 リニア中央新幹線の関連工事をめぐる入札妨害事件で、東京地検特捜部が、大手ゼネコン大林組の名古屋支店(名古屋市東区)も偽計業務妨害の疑いで家宅捜索していたことが、関係者への取材で分かった。
 東京地検特捜部は八日から九日未明にかけて、同社本社(東京都港区)などを家宅捜索。このうち、名古屋支店に対しては八日に行われたという。同社関係者は、支店幹部が事情聴取を受けたかなどについては「家宅捜索を受けたこと以上のことは答えられない」と話している。
 一方、愛知県の大村秀章知事は十一日の定例会見で、「名古屋駅周辺の用地確保や残土処理、利便性向上など、二〇二七年の開業に向けて悪影響が出ないように対応したい」と述べた。事件に関しては「受注した企業側の問題かと思うが、公共的な性格が強い事業。適正、公正に進められるべきだ」と語った。

◆JR東海が調査委設置

 リニア中央新幹線の入札妨害事件を受け、JR東海は十一日、社内に公正契約等調査委員会を設置し、大林組に対して契約手続きに関する事実関係の説明を求めることを決めた。同日、大林組の担当者を呼んで、説明を求める書面を渡した。
 JR東海によると、坪内良人専務執行役員を委員長に、社内の関係部署の責任者ら十一人でつくる。説明の回答期限は設けていない。

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