2015年10月29日木曜日

リニア開発ラッシュ/駅周辺住民は置き去り/企業の勝手で住宅や神社も消える(2015年9月3日しんぶん赤旗)

◎リニアで開発ラッシュ/名古屋駅周辺住民は置き去り/県・市政ウオッチング/企業の勝手で住宅や神社も消える

RINIA.jpg 2027年開業予定のリニア中央新幹線を期待して、名古屋駅周辺でつづく開発ラッシュ。その実態と生活との関わりを考える県政・市政ウオッチングが8月30日に行われ、70人近くが参加しました。主催は愛知県の革新県政の会と名古屋の革新市政の会。(今村一路)

 参加者は駅ビル15階から周辺を見渡します。建設中の高層ビル2棟が見え、ビルに隠れて見えない所にも2棟、更地の目立つ駅南ではクレーンが何台も稼働しています。

ビジネス拠点に

 見学前の学習会で、東海自治体問題研究所事務局長の梅原浩次郎氏(元名古屋市立大学講師)は、県・市の開発計画の基調が企業呼び込み型だと指摘し、ビジネスの拠点にするもので、住宅をなくそうとしていると強調。東海道新幹線が通っても活性化しなかった大阪の例もあげて「生活に結びつかない開発」を批判しました。
 日本共産党の本村伸子衆院議員は、県当局の国会要請の1番が「リニア推進」だったことをあげ、県民の不安や要望が無視されていると指摘。江上博之市議は「一民間企業に駅を勝手にさせていいのか」と問題提起しました。
 リニアを考える西区の会の小川輝夫代表は、7月27日に守山区、春日井市の会とJR東海へ要請したときの様子を報告し、JR東海が住民の声に応えようとしない姿勢を批判しました。
 参加者はリニア新駅の予定地を視察。新駅は、名古屋駅に対し東西に直交するため、地下30㍍、長さ1㌔にわたり掘り下げる開削工事を行います。
 駅西側は藤井ひろき市議が案内し、太い木々でうっそうとする椿神社前で「この神社も開削されます」と説明すると「うわー、神社までも」と声が上がりました。最西部には「JR東海事業用地」の看板も。藤井氏は「説明会後に用地取得と言っていたのに事前に取得していた土地です」と告発します。

困っている住民

 近所に住む女性が「相談する所がなくて困っていた」と声をかけてきました。不動産屋から土地を「売ってくれ」と次つぎ言われ、困ってJRに言っても「秋以降に答える」と言われるだけだと訴えます。藤井氏は相談にのる約束をしました。
 駅東側は、建設中のJRゲートタワーの真下から、大名古屋ビルヂングの北側にある雑居ビルやホテルをつぶして造られます。
 案内役の青木ともこ市議が、ルート脇に建つビルを指さし、「建てるとき、地下水が多く出て竣工が遅れた」ことを紹介し、工事の難しさ、費用の増大を懸念します。
 JRの測量も進み、道路上にトンネルの中心点を示す赤いびょうが打たれています。付近には古民家をリフォームした人気の飲食店も。わしの恵子県議は「振動が家屋に影響しないか心配」と話します。

周知不足明らか

 ルートにかかる可能性のある飲食店を営む上沖央明さん(46)は「この下を通るんですか? 商店街では話題にもなっていない。大家さんには情報がいっているかもしれませんけど」と話しました。
 リニア計画の周知不足や住民の不安などが払しょくされないまま、工事や周辺開発が進んでいることが明らかになりました。革新県政の会代表の榑松(くれまつ)佐一氏は「このまま進めさせるわけにはいかない。市民の会と協力してただしたい」と話します。

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