2015年10月22日木曜日

官庁街い直径30メートル非常口(2015年10月22日中日新聞)

<街が変わる> 官庁街に直径30メートル非常口 

2015/10/22  中日新聞
 ルートの九割近くがトンネル内を走るリニア中央新幹線は、万一の火災や事故に備えて数キロごとに非常口が造られる。その一つは、名古屋市中区三の丸の官庁街の真ん中に出現する「名城非常口」。深さ七十メートル、直径三十メートルという巨大な円筒形が、地下を走るリニアのトンネルと地上をエレベーターなどで結ぶ。現地では、工事に向けて名古屋城三の丸遺跡の発掘調査が進められており、遺跡が埋め戻された後に着工する。二十四日には、既に終わった調査について市民向けの現地説明会がある。
 非常口は都市部では五キロごと、山間部では四キロごとに設置。リニアがトンネル内で停止してしまった場合、乗客はリニアが走るガイドウエーの下にある通路に降り、最寄りの非常口へと歩いて避難し、エレベーターや階段で地上に向かう。
 名城非常口の予定地は、愛知県警本部の東隣にある小公園。非常時には、静かな官庁街の一角に突然、何百人もの乗客がぞろぞろと姿を現す可能性がある。
 名古屋駅に最も近い名城非常口のほか、愛知県内では、勝川、神領など計五カ所を計画。都市部の非常口は換気や消音の設備もあり、列車の通過に合わせて内部でふたが閉じられる。このため、地上では騒音や振動などは感じられないという。
 工事は、まず非常口を掘削してから、横に向けてリニアのトンネルを掘っていく。工事で発生した土を非常口から出しながら工事を進めていく方式だ。名城非常口分だけでも百二十万立方メートルの土の搬出が想定されている。現在、工事業者の選定作業が行われている。
 工事に伴う遺跡調査は今年四月から始まり、江戸時代の調査が終わった。付家老・竹腰家の屋敷などがあった場所で、南北に走る道路跡や井戸、ごみ穴などが見つかっている。ごみ穴からは食器や人形など大量の生活用品が見つかった。珍しい犬の人形なども。現在は、戦国時代の那古野(なごや)城などの調査が続く。年内には調査をほぼ終える予定で、遺跡が埋め戻されていよいよ非常口の工事が始まる。
 名古屋市教委は今月二十四日午後一~三時、発掘調査の現地説明会を行う。申し込み不要。前日午後五時半までの問い合わせは、市教委文化財保護室=電052(962)7021=へ。雨の場合は二十五日の同じ時間に順延する。
 (社会部・吉枝道生)

0 件のコメント:

コメントを投稿