愛知県、名古屋市OBが助っ人に リニア名古屋駅、用地買収で
2016/2/19 朝刊
二〇二七年に開業するリニア中央新幹線名古屋駅の建設で、愛知県や名古屋市のOBが用地買収の助っ人として登場することになった。公共事業が盛んだった時代に活躍し、難交渉の舞台裏を支えてきたベテランたちだ。地権者に補償額などを示す交渉が本格化するのを前に、四月から第一線に復帰し、難航が予想される交渉を手助けする。
用地取得のノウハウを持つ名古屋市の建設コンサルタントなど十社でつくる共同企業体が一月、JR東海の委託で買収交渉を担う名古屋市の外郭団体「名古屋まちづくり公社」から業務委託を受けた。この十社が国や県、市のOB計二十人以上を雇って活用する。
OBらは四月から地権者に補償内容を説明する業務などを引き受ける。
公社も県や市出身の用地交渉のベテランを抱えるが、公共事業が抑制される中で現役世代が経験を積む機会は減少。道路建設など用地取得が活発だった時代に腕を鳴らしたOBは得難い能力を持つ人材だ。
リニア名古屋駅の用地買収は、名駅周辺の二万三千平方メートルが対象。地権者は登記簿上だけで約百二十人おり、移転を求められるテナントなどは約二百軒。JR東海は一八年度末までに買収を終える計画で、公社のほかに阪神高速道路(大阪市)の協力も得ている。
舞台となる名駅周辺はリニア開業への期待などから地価が急騰し、駅西側は立ち退き後に移転営業できない風俗店も含まれる。地価の公示価格や不動産鑑定士の評価額を参考に公共事業と同じ基準で買収額などが算定されるが、将来の地価上昇分は含まれない。難航する可能性が指摘され、買収の成否はリニアの開業時期を左右する重要なポイントの一つだ。
名古屋市も買収交渉を支援するため、四月から公社に出向させる職員を九人増の三十人とする方針。担当者は「来年度はリニア駅工事に向けて計画を作り上げる正念場の年。開業が遅れないよう、公社の体制を強化したい」と話している。
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