リニア訴訟第2回口頭弁論で原告代理人から提出された本件訴訟の「進行に関する意見書」です。
この中で、原告適格問題で、岐阜のウラン鉱床地域の工事で放射性物質含有の発生土の運搬ルートを被告・JRが明らかにしないので、騒音・振動・交通被害について、原告適格が明確にならないまま裁判が長期にわたると、工事を強行しているJRは工事を完成させてしまうことになる。従前の行政訴訟の悪弊を繰り返すことになってしまうので、本格工事開始直後のこの時点で、工事差し止め仮処分などの法的措置を早めに講ずることが必要である。
平成28年(行ウ)第211号 工事実施計画認可取消請求事件
原 告 川 村 晃 生 ほか 737名
被 告 国(処分行政庁 国土交通大臣)
参 加 人 東海旅客鉄道株式会社
2016年12月9日
東京地方裁判所民事第3部B②係 御中
原告訴訟代理人 弁護士 横山 聡
進行に関する意見
1 原告適格関係について
総原告目録関係では、現在、原告適格関係について整理中ですが、異議申立未実施の関係では、1名を除いて確認が取れており、こちらの手元に「異議申立書の写し」のあるその1名について被告に調査を依頼しているところです。
委任状と異議申立書の対比で、住所変更や名前の誤記等のある原告の関係では、住民票取り寄せなどにより確認を進めておりますが、未だ若干名確認が取れておらず、次回期日までには整理できるものと考えています。
原告A目録関係では、土地の登記簿などの資料で整理できるものは整理が進んでいますが、立木トラストの関係では、土地と施設の位置関係などが現状でも正確か疑問があり、土地上の立木の位置関係などで被害の発生が確認できるかなど、被告・参加人側の認可した内容が必ずしも確定できていない点で、現時点において判明している資料でとりあえずまとめることとなる予定です。
原告B目録関係では、工事における発生土処理場所が未だ明確でなく、これが明らかにならないと運搬ルートなども明らかにならないので、被告・参加人がこれについて早急に明らかにすることを求める次第です。とりあえず、現状判明しているルート等と原告の居住地の関係は図示できるように整理していますが、長期間の工事での発生土運搬の騒音・振動・交通被害については、今後早急に被告・参加人に明らかにしていただきたいと思います。これができた際に、改めて原告B目録は整理すべきかと考えています。
2 今後の期日について
本訴訟の争点の一つである、環境影響評価問題ですが、それ自体の杜撰さ・いい加減さに加え、手続きのいい加減さについても明らかにしてゆきますが、全長が品川・名古屋間で286kmにも及び、通常のやり方では訴訟に長期を要することになり、参加人が工事を強行することで、被害がさらに明確になる一方、建設が既成事実化されることとなります。このような事態を避けるためにも、角地における被害が明確な地域について、個別に取り上げて主張・立証を行ってゆく必要があると思います。そのため、本日も、相模原の車両基地建設での被害が明らかな点を主張し、意見陳述させていただきました。
次回以降の期日においても、本件被害の概要をご理解いただくべく、山梨県の実験線で既に生じている被害、静岡の大井川に対するトンネル工事の影響、長野県大鹿村で生じている工事用道路や発生土処分にかかわる住民との合意形成問題、岐阜のウラン鉱床の地域の工事の関係での放射性物質含有の発生土問題など、随時取り上げてゆく予定です。その際には原告・弁護団共に意見を陳述してゆきたいと思います。
3 証拠について
今後、大量の証拠が提出されることとなることに鑑み、証拠番号を証明事項ごとに付し、事務処理の簡易化と整理の容易化に努めたいと考えており、次回には整理した号証の付仕方について、ご提案しご了解を得たいと思います。
4 期日について
2017年4月までの期日が指定されていますが、その後についても2か月に1度程度の期日指定をお願いしたいと思います。主張整理がある程度進んだ段階で、専門家による立証についての立証計画をお出しする予定です。
以上
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