2017年2月6日月曜日

可児市二野地区に汚染土壌処理施設(山根一男の徒然日記2016年12月13日より)

2016年12月13日(火)
 可児市二野に汚染土壌処理施設
 まだ岐阜県の認可は下りていないが、可児市二野の工業団地の入り口付近、元セイコークロック岐阜工場があった土地(約1万9千㎡)に、汚染土壌処理施設が建設される予定である。

 ㈱ダイセキ環境ソリューションという名古屋市に本社がある会社で、28年2月期の連結売上高は190億円。愛知県東海市、横浜市、大阪市にも処理工場(リサイクルセンター)を持っている。昨年度の年間汚染土壌処理実績は約115万t。

 汚染土壌とは、土壌汚染対策法で規定されているトリクロロエチレンやベンゼン、鉛やヒ素、水銀などの重金属、有機リン酸やPCBなどが含まれる土壌である。

 トンネル工事などで出てくる土砂の中にこのような有害重金属が含まれている可能性があり、この工場で浄化し、汚染されていない土として各埋め立て地などへ搬出するための施設を建設しようとしている。(ただし、揮発性有機化合物・水銀およびその化合物・PCB・放射性物質を含む土・産業廃棄物・ダイオキシン類を含む土・黄鉄鉱は、この施設では扱わないとしている)

 予定では、来年(平成29年)春頃に着工し、30年春頃からの稼働を目指している。法に基づいて着々と進められていて、現在は地元(二野・羽崎)の理解を得るべく10月23日には地元説明会も実施されている。

 私が思うには、この施設はリニア中央新幹線の建設で排出される大量の土砂を取り扱うのが主な目的と見られ、このためリニア新幹線建設工事で出て来る汚染残土が可児市に集まってくる懸念がある。

 ダイセキ環境ソリューションによれば、その数、つまりダンプカーが出入りする数は1時間に40台、ダンプの出入りは朝8時30分から夜7時までを予定しているので、1日換算で最大約420台(ただし往復換算のため実質は210台)のダンプカーが出入りすることになる。


 搬入経路も地図にあるように四方八方からこの施設を目指すことになる。今後、二野から大森に抜ける道が建設予定だが、それまではほぼすべてのダンプカーが二野・羽崎交差点(角に以前のココス、現ファミリーマートがある交差点)を通過することになる。


 東部を中心に可児市が大型ダンプカーが頻繁に通過するまちに変わることになるのではないか。つまり、影響は地元(二野・羽崎)だけではない。

 10月末に私はこのことを地元に住む方から察知し、まだ議会の中でも全く情報提供がない状態だったので、複数の議員に情報提供した。その結果、執行部から、ペーパー1枚だが全議員に情報提供され、現在開会中の可児市議会十二月議会では、伊藤健二議員が一般質問もした。

 市としては、これは県の認可事業であり、今年4月頃に土地売買があったようだが、完全な民間取引であり、法に則って進められる限りは認めざるを得ないというスタンスである。

 これに対して議会は、基本姿勢として市民の代表でもあり、まずは地元だけでなく、多くの可児市民の意見を聴いた上で方針を決めることになる。ただし、議会自体には建設を止める権限はない。

 ただ、私が記憶する限り可児市議会は過去に2度、可児市に進出しようとした、いわゆる迷惑施設を止めた実績はある。もう何年も前のことだが、ラスパ近くに建設されようとした場外馬券場と、坂戸に建設されようとした動物の焼却および埋設施設である。

 多くの可児市民は、まだこの汚染残土処理工場の進出については知らない。議会として12月16日(金曜日)午前9時から始まる建設市民委員会で、進出企業であるダイセキ環境ソリューションの関係者の参考人招致が決まっている。

 
2016年12月16日(金)
 建設市民委員会で、参考人招致
 今日の参考人招致は可児市議会の歴史に残るような天晴な内容だった!
 13日のこのブログで告知したように、本日開催の可児市議会建設市民委員会において、『可児市二野地区で計画している土壌処理事業について』というテーマで建設を予定している株式会社 ダイセキ環境ソリューションの責任者を呼んで(参考人招致)説明していただいた。

 参考人招致制度は、可児市議会では比較的あるほうだが、それでも年に数回あるかないかだ。議会改革の進んでない議会ではまずやらないと思う。

 数年前に可児市学校給食で、パンにコバエが入っていた事件で、関係企業の方を参考人招致したことがあったが、今回のように可児市に進出しようとする企業の方を呼んでの参考人招致はまったく初めてだ。

 このことに関しての建設市民委員会の決断に敬意を表したい。それだけ、今回の件が市民生活に負の影響を与える可能性が高いことに対する、議会として今やれる最大限の取り組みだと言えよう。

 朝9時からと聞いており、このブログでの告知も9時としていたが、実際に今日の参考人招致による説明が始まったのは、10時40分であった。何らかの事情があったのだろうが、結果ブログ読者の方には誤情報を流してしまったことをお詫びしたい。

 参考人招致は1時間25分に及んだ。可児市議会の歴史に残るような名質疑(?)であった。とても緊迫感があり国会論戦をほうふつさせるような迫力があった。主に質疑したのは川上文浩議員と、伊藤健二議員だが、二人とも専門家と言える(川上議員は放射線技師でもある)レベルの知識を持ち、とてもよく調べており市民目線を貫いたものだった。

 対するダイセキ環境ソリューションの幹部(企画部ゼネラルマネージャー)の方の説明や対応も、とても丁寧で誠意を感じた。この業界ではトップ企業であり、しっかりした会社だという印象を得た。

 企業は人なりというが、本当にそうだと思う。この方の説明を聞き、対応を見ていると信用できる会社だろうなと思えてくる。ただし、実際はまだ分からない。百戦錬磨の方かもしれないが、とても自然体だった。

 今日の説明と質疑応答で、ある程度は理解できたが、まだまだ不確定なことは多い。川上議員は放射線技師だけあって、放射性物質の流入についてかなり厳しく追及した。

 屈削現場では、1日に1回放射線量を計るようだが、突然ウラン鉱床にぶち当たるようなことはないのだろうか?放射能については、一番の被害者になり得るのは現場の社員ということで、これについては危機感は共有しているという説明はもっともだと思った。

 一番心配なのは黄鉄鉱だ。10年前の東海環状自動車道のトンネル残土埋立てに際して、最も悪さをしたのが黄鉄鉱だった。山の中に眠っているうちはいいが、水や空気に触れると、酸が溶け出し重金属類や極度の酸性水をゆう出する。

 この黄鉄鉱については、土壌汚染の対象になっておらず、この施設では除去もできないので受け入れることはないとのことだったが、搬出先のセメント工場がOKすれば受け入れもあり得るという回答だった。

 美濃帯と呼ばれる、可児市周辺の土壌には黄鉄鉱が含まれている可能性は高いので、このことをどうするか…もっとも、この件はJR東海に問われることだ。

 その他、粉塵の問題とかも指摘されたが、つまるところ確実に市民生活に何らかの支障を確実にきたすのが、ダンプカーの通行だろう。川上議員からは、ここだけではなく大森の欅が丘開発地区からも相当数のダンプカーが出入りするので、さらに可児市にダンプカーが増えるという指摘もあった。

 1時間に往復で約40台、1日10時間30分稼働なら420台のダンプカーが可児市東部を中心に出入りすることになる。ダイセキの調査によれば、時間帯によって変わるが、平均的にこの辺りを走る車の数は1時間に200台近くで、9割は乗用車、残り1割が大型車だが、ここにこの施設関係のダンプカーが20台程度、つまり1割増という試算をしていた。

 実際のところ、その数量がどれだけの影響を与えるかは、受け手しだいである。耐え難いという人もいれば、どうってことない方もいる。

 結局のところ、できることなら来てほしくない施設だが、どこかが引き受けなければならない。社会的に必要な施設である。総論賛成各論反対というのに似ている。

 迷惑の程度が、大半の市民に許容される範囲内なのか…現時点での判断は難しい。もう少し多様な市民の声を聴きたい。

 傍聴していた女性から、大変大きな評価をいただいた。地元(二野・羽崎)の説明会(10月23日)とは、全く雰囲気が違った。市議会が頼もしく見えたという。この点は、議会としてもまず第一段階の責任は果たせたのではないだろうか…ただ、問題はこれからだと思う。 

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