2017年2月23日木曜日

春日井リニアを問う会 2017年2月25日 12号

春日井リニアを問う会の機関紙第12号(2017年2月25日付)から転載しました。



2017年2月14日火曜日

リニアで無許可工事 瑞浪南垣外工区で(2017年2月8日中日新聞)

2017年2月8日付中日



可児市二野地区に計画されている汚染土壌浄化施設についての会社側の説明資料から(2016年12月16日可児市議会建設市民委員会)

2016年10月23日開催の、二野、羽崎地区住民への説明会での質問と回答 (株)ダイセキ作成の説明会資料の一部を紹介します。可児市議会建設市民委員会(2016年12月16日開催)の会社側の説明会で配布されたもの

① なぜ、この地に工場を誘致しようとしたの     岐阜県内および近郊において、今後ト
                          ンネルや高速道路等の建設や開発案件
  ですか。                    が増えることを想定し、工業専用地域
                          で一定の面積を確保できることからこ
                          の土地を購入し、工場建設を計画しま
                          した。

② 今からでも、他の土地に移せる可能性はあ     他の土地へ移る予定はありません。    
  りますか。

③ リニア新幹線トンネル残土は、土岐方面に     JR東海は、月吉鉱床北側約3キロ区間
  ウラン鉱床があると思う。            のトンネル掘削発生土については、一
                          日1回ウラン濃度を分析し、ウラン濃
                          度が管理値を超過していないことが判
                          明するまで発生土は搬出しないとして
                          いる。

④ 放射線含有土は取り扱わないとの事だが信     弊社も受け入れ審査の段階でウラン濃
  用できない。                  度の有無を確認するとともに、万が一
                          を想定し線量計を準備します。弊社の
                          社員の健康管理の観点からも放射性含
                          有土につき受け入れることは拒否しま
                          す。

⑤ 放射能があるかないかは、誰が検査するので    工事施工者であるゼネコン様が検査を
  すか。                     して証明書を提出してもらうことで、
                          放射能の有無を確認します。

⑥ 産業廃棄物処理法と土壌汚染対策法の違いに    「廃棄物の処理および清掃に関する法
  ついて説明してください。            律」とは「廃棄物の排出抑制と処理の 
                          適正化により、生活環境の保全と公衆
                          衛生の向上を図ることを目的とした法
                          律に対し、土壌汚染対策法とは、「土
                          壌の汚染状況の把握及び人の健康被害
                          の保護を目的とした法律」です。

⑦ 掘削残土はゼネコンによる企業の産業廃棄物    廃掃法では、がれきや汚泥は廃棄物に   
  と思うが、産業廃棄物を受け入れないことと    なりますが、土壌そのものは廃棄物で
  相違するのではないですか。           はありません。また鉛や砒素などは有
                          用な資源でもあり有害であることだけ
                          では廃棄物になりません。
⑧ 産業廃棄物処理法では、排出業者への処理     廃掃法では排出から運搬・処理までを
  完了通知があるが土壌汚染対策法ではそれ     把握するマニフェスト(管理票)があ
  がありますか。                 り、処理が完了しましたという通知が
                          この書類で明らかになります。
                          土壌汚染対策法のおいてもこれに相当
                          する「管理票」があります。
                          管理票には、排出先、汚染土壌の種類
                          や量を示すだけでなく、排出責任者、
                          運搬担当者、処理業者、運搬日や処理
                          日も記載されています。

⑨ 当工場の1日あたりの処理能力は何トンで     1時間あたり100トン、12時間稼
  すか。休日は土日休日ですか。          動により1日あたり1200トンの処
                          理能力を計画してしています。
                          日曜日を休日とします。

⑩ 工場の近傍には民家がありますが、法律で     処理業許可は県から認可されることに
  何メートル離れていたら立地できるとか安     なりますが、法令では敷地境界から1
  全とかといった基準はありますか。どれぐ     0m以内の土地の所有者様に対して周
  らい離れていたら問題ないと考えています     知を行うことになっております。しか
  か。                      し、法令で定められていない範囲の方
                          にも広く事業内容を理解して頂きたい
                          と思い、このような説明会を設けさせ
                          て頂いております。

⑪ 事前受け入れ審査の具体的な方法を教えて     ①汚染物質の種類および濃度、搬出場
  ください。                    所によってはウラン濃度、黄鉄鉱に
                           ついての分析結果の提示も受けま
                           す。
                          ②土砂の性状(土質や水分)や成分   
                          (鉄分や塩素など)を確認します。
                          ③さらに、この土砂が浄化できるかを
                           確認するために試験や分析を行い、
                           最終的に受け入れ可能か否かを判断
                           します。

⑫ 現場発生土は工事現場で分析されるのです     事前にどのような汚染状況か解らなけ
  か、それとも搬入後に工場で分析するので     れば受け入れができませんので、工場
  すか。                     に搬入されてから分析することはあり
  分別等処理、浄化等処理の内容・方法を説     ません。
  明してください。                分別等処理とは、土壌に含まれている
                          異物(鉄くずや草根)を除去したり、
                          水分や粒度を調整するものです。処理
                          後の土壌は、場内の浄化等処理設備へ
                          ベルトコンベアで搬送します。
                          浄化等処理とは、土壌に含まれる鉛や
                          砒素といった重金属を鉄粉に吸着させ
                          て、これを強力な磁石で回収し、有害
                          物質を取り除くものです。

⑬ 濃縮土のセメント工場への運搬処理がある     確認は「管理票」で行います。いつ、
  が、確認行為がないため不明です。        どの程度の量が排出されたかは全て把
                          握可能です。
  また、浄化確認分析結果はどこに提出する     浄化を証明する分析結果は、浄化土の
  のですか。                   引受け者へ提出します。弊社工場内で                                 も証明書を保管していますので、いつ
                          でも閲覧できます。

⑭ 浄化確認分析は事業所内で実施するのですか。   浄化の確認は事業所内では実施せず、
                          公的な計量証明書が発行できる事業所
                          で分析を行います。

⑮ 外部分析機関へ委託するのですか。        本社にある弊社分析室も計量証明事業
                          所ですが、分析室が繁忙な場合には外
                          部の分析機関へ委託します。

⑯ 浄化等処理後の濃度はどれくらいになりますか。  処理後は環境基準以下になります。
  また、濃縮土はどれぐらいになるのですか。    濃縮土については、もともとの濃度が
                          10倍のものは10倍以上もしくは数
                          十倍になろうかと思われます。

⑰ 濃縮土はどのくらい産出されるのか。       8~9割程度は浄化され、残りが濃縮
                          土となります。

⑱ たとえば、濃縮土の運搬は赤色のトラックにし   ダンプは外注手配の予定なので、弊社
  てほしいとの要望は聞いてもらえますか、法律   で色を塗り替えることは困難ですが例
  と関係ないからやれないといういうのでしょうか。 えばボデイの横に「汚染土壌」と書い
                          たステッカーを張り付けて明示するな
                          どの対応を検討します。

⑲ 濃縮土はシートを掛けて搬出ようだが、現場から  その通りです。現場でシートを被せて
  搬出される汚染土壌もシートをするのか。     車輪に付いたドロを鉄板上で落とした
                          状態で公道を走ります。弊社が汚染土
                          壌を受け入れる際には、工事業者にシー
                          ト掛や公道に出る際に土を引っ張らな
                          いことを指導していきます。

⑳ リサイクル土壌にならなかった汚染土壌を含む   汚染土壌に混じったコンクリートなどの
  コンクリートは、どこで作られ、どこへ持って   がれき類や木くずなどは、処理途中で
  行き、どう処理されるのですか。         選別して、一時保管後に自社廃棄物と
                          して許可を所有する外部へ委託処分を
                          依頼します。

21 浄化できないものは、何も処理せずセメント工   がれきや木くず等を除去する中間処理
  場出荷するのですか。              (分別等処理)を行ってから出荷します.セメント工                          場でも処理出来ない場合については、最終処分場へ搬                          出する場合もあります。

22 土壌汚染対策法で定める第三種特定有害物質(農薬等) これらの農薬類は、主に殺虫剤、除草剤と
  の汚染土壌が受け入れ対象物質になっていますが、   して使用されています。
   どこからの汚染が想定されますか。         汚染が発生する場所としては、主に薬剤を
                            製造する工場となります。

23 受け入れ予定は環境基準の10倍程度としていますが、
  どこまで受け入れるのか社内基準はありますか。      一般的に自然由来の汚染土壌とは環境基
                            準の10倍程度とされているためこのような
                            表記をしています。
                            10倍を超える土壌でも実際に事前の受入検
                            査や浄化できるかの分析や試験を行って、最
                            終的に受け入れが可能かどうかを判断しま
                            す。    
                            現在、受け入れ基準について、県と協議を
                            行っています。

24 浄化等処理は、赤枠で囲まれたすべての物質が受け     浄化等処理では、第三種特定有害物質(農   入れ対象ですか。                 薬等)とホウ素及び水銀を除く第二種特定有害物
                           質(重金属等 セレンおよびその化合物、鉛および
                            その化合物、砒素及びその化合物、フッ素および                           その化合物、ホウ素及びその化合物)が浄化できる                           物質です。

25 ダンプの交通量は、どれくらいですか。      この工場には汚染土壌を運んでくるダンプが1
                           時間当たり10台程度、浄化した土壌を運び出
                           すダンプが1時間あたり10台程度入場する予
                           定です。往復で1時間あたり約40台の出入と
                           なります。
 
26 小学校への通学時間帯である朝7時頃にダンプ   ダンプの朝の運行は、通勤通学時間帯を避けて
   を運行させないといった要望に応えてもらえま   運行することにします。
   すか。                      ゼネコンの現場は、一般に朝8時頃から
                           スタートしますので、現場からダンプが工場に朝8                           時30分前後になるものと想定しています。

27  この付近には亜炭坑があり、ダンプの振動はかな   工場の北部には亜炭坑があることは把握してい                            ます。
   あると思うがどのように考えていますか。      そのような場所を通る場合は、ダンプを迂回する                            などの検討をします。

2017年2月6日月曜日

可児市二野地区に汚染土壌処理施設(山根一男の徒然日記2016年12月13日より)

2016年12月13日(火)
 可児市二野に汚染土壌処理施設
 まだ岐阜県の認可は下りていないが、可児市二野の工業団地の入り口付近、元セイコークロック岐阜工場があった土地(約1万9千㎡)に、汚染土壌処理施設が建設される予定である。

 ㈱ダイセキ環境ソリューションという名古屋市に本社がある会社で、28年2月期の連結売上高は190億円。愛知県東海市、横浜市、大阪市にも処理工場(リサイクルセンター)を持っている。昨年度の年間汚染土壌処理実績は約115万t。

 汚染土壌とは、土壌汚染対策法で規定されているトリクロロエチレンやベンゼン、鉛やヒ素、水銀などの重金属、有機リン酸やPCBなどが含まれる土壌である。

 トンネル工事などで出てくる土砂の中にこのような有害重金属が含まれている可能性があり、この工場で浄化し、汚染されていない土として各埋め立て地などへ搬出するための施設を建設しようとしている。(ただし、揮発性有機化合物・水銀およびその化合物・PCB・放射性物質を含む土・産業廃棄物・ダイオキシン類を含む土・黄鉄鉱は、この施設では扱わないとしている)

 予定では、来年(平成29年)春頃に着工し、30年春頃からの稼働を目指している。法に基づいて着々と進められていて、現在は地元(二野・羽崎)の理解を得るべく10月23日には地元説明会も実施されている。

 私が思うには、この施設はリニア中央新幹線の建設で排出される大量の土砂を取り扱うのが主な目的と見られ、このためリニア新幹線建設工事で出て来る汚染残土が可児市に集まってくる懸念がある。

 ダイセキ環境ソリューションによれば、その数、つまりダンプカーが出入りする数は1時間に40台、ダンプの出入りは朝8時30分から夜7時までを予定しているので、1日換算で最大約420台(ただし往復換算のため実質は210台)のダンプカーが出入りすることになる。


 搬入経路も地図にあるように四方八方からこの施設を目指すことになる。今後、二野から大森に抜ける道が建設予定だが、それまではほぼすべてのダンプカーが二野・羽崎交差点(角に以前のココス、現ファミリーマートがある交差点)を通過することになる。


 東部を中心に可児市が大型ダンプカーが頻繁に通過するまちに変わることになるのではないか。つまり、影響は地元(二野・羽崎)だけではない。

 10月末に私はこのことを地元に住む方から察知し、まだ議会の中でも全く情報提供がない状態だったので、複数の議員に情報提供した。その結果、執行部から、ペーパー1枚だが全議員に情報提供され、現在開会中の可児市議会十二月議会では、伊藤健二議員が一般質問もした。

 市としては、これは県の認可事業であり、今年4月頃に土地売買があったようだが、完全な民間取引であり、法に則って進められる限りは認めざるを得ないというスタンスである。

 これに対して議会は、基本姿勢として市民の代表でもあり、まずは地元だけでなく、多くの可児市民の意見を聴いた上で方針を決めることになる。ただし、議会自体には建設を止める権限はない。

 ただ、私が記憶する限り可児市議会は過去に2度、可児市に進出しようとした、いわゆる迷惑施設を止めた実績はある。もう何年も前のことだが、ラスパ近くに建設されようとした場外馬券場と、坂戸に建設されようとした動物の焼却および埋設施設である。

 多くの可児市民は、まだこの汚染残土処理工場の進出については知らない。議会として12月16日(金曜日)午前9時から始まる建設市民委員会で、進出企業であるダイセキ環境ソリューションの関係者の参考人招致が決まっている。

 
2016年12月16日(金)
 建設市民委員会で、参考人招致
 今日の参考人招致は可児市議会の歴史に残るような天晴な内容だった!
 13日のこのブログで告知したように、本日開催の可児市議会建設市民委員会において、『可児市二野地区で計画している土壌処理事業について』というテーマで建設を予定している株式会社 ダイセキ環境ソリューションの責任者を呼んで(参考人招致)説明していただいた。

 参考人招致制度は、可児市議会では比較的あるほうだが、それでも年に数回あるかないかだ。議会改革の進んでない議会ではまずやらないと思う。

 数年前に可児市学校給食で、パンにコバエが入っていた事件で、関係企業の方を参考人招致したことがあったが、今回のように可児市に進出しようとする企業の方を呼んでの参考人招致はまったく初めてだ。

 このことに関しての建設市民委員会の決断に敬意を表したい。それだけ、今回の件が市民生活に負の影響を与える可能性が高いことに対する、議会として今やれる最大限の取り組みだと言えよう。

 朝9時からと聞いており、このブログでの告知も9時としていたが、実際に今日の参考人招致による説明が始まったのは、10時40分であった。何らかの事情があったのだろうが、結果ブログ読者の方には誤情報を流してしまったことをお詫びしたい。

 参考人招致は1時間25分に及んだ。可児市議会の歴史に残るような名質疑(?)であった。とても緊迫感があり国会論戦をほうふつさせるような迫力があった。主に質疑したのは川上文浩議員と、伊藤健二議員だが、二人とも専門家と言える(川上議員は放射線技師でもある)レベルの知識を持ち、とてもよく調べており市民目線を貫いたものだった。

 対するダイセキ環境ソリューションの幹部(企画部ゼネラルマネージャー)の方の説明や対応も、とても丁寧で誠意を感じた。この業界ではトップ企業であり、しっかりした会社だという印象を得た。

 企業は人なりというが、本当にそうだと思う。この方の説明を聞き、対応を見ていると信用できる会社だろうなと思えてくる。ただし、実際はまだ分からない。百戦錬磨の方かもしれないが、とても自然体だった。

 今日の説明と質疑応答で、ある程度は理解できたが、まだまだ不確定なことは多い。川上議員は放射線技師だけあって、放射性物質の流入についてかなり厳しく追及した。

 屈削現場では、1日に1回放射線量を計るようだが、突然ウラン鉱床にぶち当たるようなことはないのだろうか?放射能については、一番の被害者になり得るのは現場の社員ということで、これについては危機感は共有しているという説明はもっともだと思った。

 一番心配なのは黄鉄鉱だ。10年前の東海環状自動車道のトンネル残土埋立てに際して、最も悪さをしたのが黄鉄鉱だった。山の中に眠っているうちはいいが、水や空気に触れると、酸が溶け出し重金属類や極度の酸性水をゆう出する。

 この黄鉄鉱については、土壌汚染の対象になっておらず、この施設では除去もできないので受け入れることはないとのことだったが、搬出先のセメント工場がOKすれば受け入れもあり得るという回答だった。

 美濃帯と呼ばれる、可児市周辺の土壌には黄鉄鉱が含まれている可能性は高いので、このことをどうするか…もっとも、この件はJR東海に問われることだ。

 その他、粉塵の問題とかも指摘されたが、つまるところ確実に市民生活に何らかの支障を確実にきたすのが、ダンプカーの通行だろう。川上議員からは、ここだけではなく大森の欅が丘開発地区からも相当数のダンプカーが出入りするので、さらに可児市にダンプカーが増えるという指摘もあった。

 1時間に往復で約40台、1日10時間30分稼働なら420台のダンプカーが可児市東部を中心に出入りすることになる。ダイセキの調査によれば、時間帯によって変わるが、平均的にこの辺りを走る車の数は1時間に200台近くで、9割は乗用車、残り1割が大型車だが、ここにこの施設関係のダンプカーが20台程度、つまり1割増という試算をしていた。

 実際のところ、その数量がどれだけの影響を与えるかは、受け手しだいである。耐え難いという人もいれば、どうってことない方もいる。

 結局のところ、できることなら来てほしくない施設だが、どこかが引き受けなければならない。社会的に必要な施設である。総論賛成各論反対というのに似ている。

 迷惑の程度が、大半の市民に許容される範囲内なのか…現時点での判断は難しい。もう少し多様な市民の声を聴きたい。

 傍聴していた女性から、大変大きな評価をいただいた。地元(二野・羽崎)の説明会(10月23日)とは、全く雰囲気が違った。市議会が頼もしく見えたという。この点は、議会としてもまず第一段階の責任は果たせたのではないだろうか…ただ、問題はこれからだと思う。 

2017年2月3日金曜日

廃炉費用 いつのまにか高く付く(2017年2月3日中日新聞)

廃炉費用 いつの間にか高くつく 

2017/2/3 中日新聞
 福島第一原発の天文学的事故処理費用、「過去に原発の恩恵を受けてきたから」と、結局は国民に広くツケ回し。過去に支払い済みの料金を値上げして、差額を徴収するなんて。そんなの、ありか。
 東京電力福島第一原発の事故処理費。二十一兆五千億円。東京都の予算の三倍以上、とんでもない数字である。二〇一三年の暮れまでは十一兆円と見積もられていたが、二倍近くに増えた。
 溶け落ちた核燃料(デブリ)の取り出しだけでプラス六兆円という。
 何しろ放射能の壁の中、人が直接触れられない、近づくことも不可能な別世界。とてつもなく困難な作業ということである。
 東電は今月、2号機直下にロボットを投入し、溶け落ちた燃料の在りかを探る。事故から六年になろうとする今も、“敵”の居場所さえ、はっきりとはつかめていない。長い時間と巨額の費用をかけて、牛歩を続けていくしかない。この先いくらかかるか分からない、天井知らずということだ。
 その費用は、誰が払うのか。
 東電が賄うならば、電気代、政府が肩代わりするなら税金-。結局は、消費者、国民に、ツケが回るということだ。
 賠償費用も約八兆円。経済産業省の考えるツケ回しの手法は、あまりにも理不尽だ。
 託送料金。すなわち、電力自由化後も既存大手の独占状態にある送電線の利用料を引き上げて、原発の電気を買わない新電力の利用者からも、「過去分」として、広く、浅く、取り立てようというのである。「新電力の利用者も、過去に原発の恩恵にあずかったから-」と、よく分からない理由をつけて、東電救済にひた走る。しかもそれが、われわれの知らないところで決められる。
 政府は避難指示を徐々に解除し、賠償を順次打ち切る方針だ。
 被害者の救済には原因企業の存続が不可欠と言いながら、事故原因の究明、被害の実態把握はそこそこに、補償費の抑制をひたすら急ぐ-。水俣事件とそっくりだ。
 安全対策に限りはない。欧米や台湾で原発の新設が行き詰まるのは、福島に学んだからだ。“安全代”の急騰が、東芝という巨大企業の屋台骨さえ、揺るがしているではないか。
 もちろん、被害者の補償を含め、事故の後始末には十分な予算をつぎ込むべきである。しかし、だからこそ、「原発の電気は安い」などとは言わせない。

2017年2月1日水曜日

リニアトンネル瑞浪市日吉町南垣外工区で基準越す有害物質(砒素、フッ素、ホウ素等)検出



中日新聞(2017年2月1日付社会面)

リニア工事用地で基準超のヒ素など検出 

2017/2/1 中日新聞
 JR東海は三十一日、岐阜県瑞浪市日吉町の地下に建設するリニア中央新幹線日吉トンネルの工事用地で、基準値の一・四~四・二倍のヒ素やフッ素、ホウ素を検出したと発表した。県は現場から半径二百五十メートル以内で、住民が井戸水を使用していないか調べる。
 基準超過が見つかったのは、地中のトンネル予定地から南に約四百メートルで、地上につながる非常口となる場所。昨年十月、深さ五十四メートルまでボーリング調査し、一月二十五日に結果が分かった。
 JR東海によると、周辺は山林で自然由来とみられ、発生土の処理を専門業者に依頼するなど対策を検討する。今夏以降に始める非常口の掘削工期に影響はないとしている。




中日新聞(2017年2月1日付岐阜県版)