岐阜の東海環状道トンネル予定地からヒ素 残土埋め立て撤回
岐阜県山県市と岐阜市を結ぶ東海環状自動車道のトンネル建設予定地の地質調査で、環境基準値を超えるヒ素が検出されていたことが、国土交通省岐阜国道事務所などへの取材で分かった。同事務所は、毒性があるヒ素の検出を公表していなかった。トンネル掘削で出た土を山県市内の運動場に埋める計画を進めていたが、地元自治会の反発を受けて断念した。
岐阜事務所などによると、現場は高富インターチェンジ(IC、仮称)と岐阜IC(仮称)をつなぐ岐阜山県第1トンネル予定地(約5キロ)。2011年度と13年度に計9カ所の岩盤をボーリング調査し、うち3カ所の試料から、土壌汚染対策法が定める土壌溶出量の基準値(1リットル当たり0・01ミリグラム)の最大10倍程度のヒ素が検出された。岐阜事務所によると、自然由来のヒ素とみられ、人体に直ちに影響が出る量ではないという。
岐阜事務所はヒ素を含む掘削土(最大約5万立方メートル)を、山県市田栗の美山(みやま)総合運動場のグラウンドの地下に、遮水シートなどで包んで埋める計画を昨春から検討。今夏の作業開始を目指し、1月下旬に地元自治会への説明を開始。この中で、土にヒ素が含まれることを初めて明かした。
だが住民らは「土砂に含まれたヒ素が雨水などで、高台の運動場から集落側に漏れ出ないか」などと反発。自治会が岐阜事務所に受け入れ拒否を伝えた。岐阜事務所は今後、別の埋め立て地を探す。
東海環状道の工事を巡っては16年3月にも、高富IC施工に向けた周辺のボーリング調査で、土壌溶出量の基準値を超すヒ素やセレンが検出され、この時は岐阜事務所が報道発表していた。県の要綱では事業者に、土壌汚染などの情報を報告するよう定めている。
岐阜事務所は「周辺に住宅地や井戸がなく、影響はないと考えたため、公表しなかった。(トンネル建設予定地は)調べたのが土壌ではなく『岩盤』なので、県に報告しなかった」と説明している。
(中日新聞)
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